【体験談】「日本語を話せない患者さんと日本の医療現場を繋ぐ」看護師へ

崎山りなさん | アデレード | Flinders University | Nursing
フリンダース大学で看護学(Bachelor of Nursing - 2年間コース)の1年目を終えた崎山りなさんの体験談です。将来、オーストラリアで看護学を希望している方、ぜひご参考ください。

崎山りなさんの留学プラン
・2019年3月〜2020年1月
フリンダース大学付属英語学校 IELI
一般英語コース 20週間
English for Academic Purposesコース 20週間 
  ↓
・2020年3月〜2021年12月
フリンダース大学 看護学
Bachelor of Nursing(Pre registration - 1Year Credit)2年コース

動画インタビュー

フリンダース大学への進学(Bachelor of Nursing コース)を目指すきっかけ


もともと幼い頃から英語に触れる環境が多かったこともあり、頭の片隅には留学という思いがいつもありました。留学を決めた大きなきっかけになったのは、英語が母国語(日本語は片言程度)の患者さんの長期入院でした。そこで、自分が思っている以上に医療英語が使えない事、また医療者従者に英語を話せる人がいない事に気付き、看護師として英語を話せるような人材になりたいと思い留学を決意しました。
そこでせっかく留学するならば、とことん勉強しようと思い、「看護師としてのワーキングホリデー」ではなく「看護大学留学」を決めました。またフリンダース大学にした理由としては、第一に語学学校との提携でパスウェイコースがあったため(今はないですが)、語学力を徐々に高ながら入学準備ができると思ったからです。第二に都心ではなくゆったりした地域で生活したいという事もあり、環境、物価などを考慮してアデレードを選びました。

大学付属英語学校(IELI)からの進学ですが、進学準備英語(EAP)コースを規定の成績で終える秘訣は?


最初は一般英語(ジェネラルイングリッシュコース)で Pre-inter level(初中級)からスタートでした。開始当初から自分の準備不足を痛感していたので学校に慣れた頃からは、課題を多めに出してもらい、自己学習を個別に添削してもらうなど、必死に勉強していました。
一般英語コースでは、ホームワークも含め、学校での授業以外に最低でも毎日2時間ほど自己学習の時間を取りました。それにはクラスメートとの英語での会話時間を増やすことも目的としてありました。ちょうど入学した時期にはフリンダース大学と提携している日本の大学生がグループできていたのですが、どこからきた学生(国籍)は気にすることなく、英語で会話する学生を自分の周りにおくこと、自分も率先して英語を話す、と言うことを第1にしていました。
そのため、学校に慣れてくる頃には自分の周りには国籍関係なく英語を話すモチベーションの高い学生が多くいて、自分にも良い刺激になったと思います。エッセイなどは 一般英語コースでは、100〜200ワードからのスタートでした。

EAP(English for Academic Purpose)コースは一般英語コースと違い、テーマに沿った論文を読み、実際にレポートを書くということをしました。今までやったことのない分野だったので、苦戦しました。学校では一から丁寧に教えてもらいましたが、自己学習時間も多く取りました。


(語学学校クラスメート)


具体的には 学校以外の時間で 1日最低3時間、平均1日4〜5時間を自己学習時間にあててました。EAPは、授業の質、宿題の質が一般英語とは比べ物にならないくらい段違いにあがります。
論文の読み方も含めリーディングの量が半端ないです。アカデミックライティングでエッセイは EAP 1Aクラスで 500ワード 、1Bクラスで700〜1000ワード、2Aと2Bは医療系EAPで 1000-1500ワードが基本になります。
EAPを既定成績で終わらせなきゃというプレッシャーは凄かったですが、先生や周りの生徒と励まし合って乗り超えられました。

(クラスメイトと乗り越えたEAPコース)

秘訣として言えることは、徹底した地道な計画性(タイムマネージメント)だと思います。
実際に毎日多くのライティングの課題(エッセイで1500ワード)をしながら、同時進行で スピーキングクラスのパワーポイントを仕上げるなど、想像を超える忙しさでした。

私自身アルバイトもしていたので、いつまでに〇〇を終える、その次はXXに取り掛かる、など、綿密な計画とタイムマネージメントなしにはこなせなかったと思います。

あとは、わからないことや納得いかないことは、ちゃんとアポイントメント をとって放課後など先生に聞きにいくべきです。私はショートエッセイでつまづいた時や、授業でわからないことがあったら、先生に聞きにいき、理解するまで付き合ってもらっていました。先生も納得いくまでもしっかりサポートしてくれます。ただし、ちゃんとアポを取っていきましょう


Bachelor of Nursing の1年目(2年生)へ進学、1年目の教科それぞれの学習内容は?


私が1年目で受講したのは1学期目で4教科、2学期目で3教科です。

1学期(セメスター1)


Introduction to the nursing profession and independent learning (NURS1001) 
基礎看護学と言えるものですが、具体的には オーストラリアの看護の歴史、オーストラリアの看護師の概念や倫理、看護学入門です。この教科では実際に看護学におけるアカデミックスキルも学びます。

Psychosocial perspectives of health care (NURS1003)
社会的精神看護論です。簡潔に言うと、健康のさまざまな概念と、個人やコミュニティにおける健康を決定する社会的、文化的、環境的な影響などを学びます。

Pathophysiology and pharmacology (NURS2003)
病態整理学と薬理学です。他の教科はエッセイの提出でしたが、この教科はテストが大変でした。日本だと数年で各分野ごとの病態整理と薬理を学ぶのですが、オーストラリアでは短期間で「深く」「広く」学ぶので自己学習時間が最も多い科目でした。

Professionalism in action [PEP](NURS2002)
新型コロナのため、ほとんどの授業がオンラインですが、この実習科目だけは、毎週トピックが決められ、午前中にチュートリアル、午後にラボ実習でした。
実習科目内容はこちらです。




2学期目(セメスター2)


Dimensions of physical and mental health (NURS1007)
精神保健(心の病)です。精神疾患について症状や原因、治療、環境要因も含め学びます。チューターが厳しくて大変な科目でした。Psychosocial perspectives of health care (NURS1003)とリンクしている教科です。

Clinical governance and practice improvement (NUR2006)
看護研究(リサーチ)についてです。現場での治療方法の確立と看護研究の重要性を学びます。アサイメントでは、トピックを選んで看護研究(リサーチ)を実際にします。私は「中心静脈カテーテル感染における最適な対処方法」と言うテーマで看護研究をしました。


Managing care in different setting [PEP] (NURS2005)
新型コロナのため、ほとんどの授業がオンラインですが、この実習科目だけは、毎週トピックが決められ、午前中にチュートリアル、午後にラボ実習でした。
実習科目内容はこちらです。



1年を通じて・・


各教科で、授業時間は異なりますが、それぞれ大体2〜3時間で各教科が週1回のクラスです。
私は日本で看護大学を卒業しているため、オーストラリアの大学との学習システムの違いに驚きを隠せませんでした。与えられる学習というよりは、自分で調べて準備するのが当たり前なので、各教科で自己学習が凄く多いです(範囲も凄く広く深いです)。
あとは、もちろんテストもありますが、殆どの教科にレポート(2500-3000字)提出があります。
コロナの影響で入学してすぐに殆どの授業がオンライン(実習科目を除いて)になり、オンライン以外の通常授業の雰囲気はまだわかりませんが、コロナ規制の緩和後、1〜2回受けた印象では事前学習をしてきている前提で授業が始まるので、ほとんどがディスカッション形式なので発言力を求められます。

私は、日本で看護師経験があるので、その点で言うとオーストラリアでの「実習科目が一番興味深く、看護師としての学びを深められた」と思います。
日本ではない器具や看護師としてのアプローチの仕方など知れ、また実際に医療現場で使われる医療英語に触れることが出来ました。このトピック(2021年1月〜2月)が終わり次第、病院実習に入るので、学びをそのまま現場でトライできるのがいいポイントだと思いました。

また日本の実習とは違い、実習中は記録がほとんどありません(評価に必要な実習の振り返りぐらいだと思います。あとは現場の看護師と「同じスケジュールで動く」ので始業が早いです。

実習生でも看護師同様で 07:00-15:00、14:30-22:30、22:00-07:00 のタイムシフトで動きます。
あとは授業で練習したことは見守りのもと実践させてもらえるので(例えば筋肉注射、尿道カテーテル挿入、また服薬管理)、日本のときに比べて責任を持って実習しています。
看護学部の学生は、学生毎に トピックが始まる時期が異なり、3〜4トピック(教科)を並行してやっている学生もいます。なので、大学でコース開始後も 語学学校(EAPクラス)で培ったレポートに関するノウハウや、タイムマネージメント、コツコツと地道に計画して実行する能力が凄く活かされました。

1年目はコロナでオンライン授業に移行したり、思い描いていた学習面でのギャップ、思った以上の成績で取れず、悩むこともありましたが、無事に最終学年を迎えられることを今は嬉しく思います。


Bachelor of Nursing の1年目 (2年生)の実習先とそれぞれの実習内容は?


1学期(セメスター1)ではAged care (老人養護施設)が実習先でした。

殆どの入居者が認知症なので、セルフケアの介助を主に行います。看護技術としては、Wound care, Vital signs check, Medication administration がメインです。
最初の1週目に介護士、2週目以降から准看護師について実習しました。具体的には 投薬と創傷ケア、経過観察、転倒転落の介助と経過観察などがメインですが、正看護師さんについて筋肉注射も経験しました。また、Aged Care施設での「看護師にしかできない役割について」も学びます。


(エイジドケアでの一コマ)


2学期目(セメスター2)では Private hospital (rehabilitation ward)でした。

リハビリテーションに特化した病院です。ここでは、手術後のリハビリテーション目的で入院する患者が多く、ここでもセルフケアの介助、見守りと評価をしました。この評価によって、他職種が退院までのリハビリの計画を立て、看護師もそのプランと評価によってケアを並行していくといった感じでした。

安定している患者さんが多い中、緊急コールや急変対応などにも参加することができて、セメスター1とは違った環境で多くのことを学べました。OT(作業療法士)、PT(フィジオ)、SP(言語療法)、Dietitian(管理栄養士) など「医療他職種の方との連携も含め日本での看護師時代を少し思い出す」恵まれた実習先だったと思います。


(2回目の実習)


看護学生、 1週間の生活のスケジュールを教えてください。


選択するトピックでも異なるのですが、2021年1月からの私の教科は、1月〜2月は 水曜日 9時〜12時で、2月中旬以降から実習教科が入っています。予定では、火曜の 朝8時〜13時(実習科目:午前チュートリアル、午後ラボ実習)と木曜の朝 8時〜16時 (実習科目:午前チュートリアル、午後ラボ実習)です。

自己学習(課題や予習)は1日に最低でも3時間以上は費やしています。要領良い賢いタイプではないので、コツコツと地道に勉強しています。


大学での勉強以外の時間は何をしている?


週3〜4日はアルバイトしています。現在は2つ掛け持ちで、1つは英語学校時代から働いてる日本食レストラン(友達からの紹介)です。
2つ目は最初の実習先だったAged careで介護士として働いています。基本的に介護士資格(Certificate 3 in Induvidual Support- Ageing)がないと働けないところがほとんどですが、看護学生の場合、1年目の実習が終われば雇用先次第で雇ってもらえることもあります。
私の場合は、実習終了時に、マネージャーに直接履歴書を持って行ったら、先方もぜひと言うことでラッキーな事にゲットしました。


看護学生が学業とアルバイトの両立は可能ですか?


確かに看護学生は実習もあったり、履修するトピック次第では、本当に忙しく休みもなくなるので、難しいと言われますが、私は可能だと考えています。

両立する上で、至極当たり前だと思うのですが、タイムマネージメントが重要です。学業が疎かになっては本末転倒ですから 自己学習時間はちゃんと確保した上で、アルバイトの時間を作り出すと言っても良いと思います。

とは言え、私自身、昨年は大学開始後、すぐにコロナの影響で レストランが休業、外出規制があり アルバイトが一切できなかった時期もありました。

経済的な状況からアルバイトが必要な学生も多くいると思いますし、私もその1人ですが、その時期にフリンダース大学からは 1000ドル X 2回の 2000ドルの支援金、FUSA(フリンダース大学の学生団体)からは フリーフード(週1回のパンや野菜などの無料配給)などもあり、大学のサポートは経済的に厳しい学生にとっては、とてもありがたかったです。

あと語学学校の時からよくしてくれるホストファミリーの存在が心の支えにもなりました。コロナが落ち着いて外出規制が解かれたあと、ホストファミリーから夕食のお誘いがあったり、本当にオーストラリアの家族と言ってもいいくらい嬉しいことでした。

(大好きなホストファミリーとの会食)


将来の目標


まずは無事に大学を卒業することです。ここで学べることを全て吸収して、その経験を日本で満遍なく発揮し、病院、患者さんから必要とされる看護師になりたいなと思います。

看護師としての一つの夢は、沖縄で最初にぶつかった問題「日本語を話せない患者さんと日本の医療現場を繋ぐ」そういう看護師になれればと思っています。スキルとしては医療通訳の資格、最終的には「看護教育と人材育成」に関わっていければ本望です。

これから看護学 進学を目指す学生にメッセージを!


私自身が全く英語の準備をしてこなかったので、大きな声で言わせてもらいますが「英語は出来る限り勉強してきたほうがいいです」!!!!
もちろん海外に来て英語が伸びることは確実ですが、基礎がしっかりあるだけで、伸び方はもっともっと変わってきます。

あとは、変化を恐れずに何にでもチャレンンジすることです。
留学中は、「良くも悪くも学ぶことが沢山ある」と思いますが、絶対に自分自身(英語力もですが、それ以上に人として)の成長に繋がります。大変だとは思いますが、支えてくれる友達、家族、周りを大切にして、夢を叶えてください!
豪政府認定留学カウンセラーPIER資格保持
(QEAC登録番号I009)
オーストラリア歴は24年目になりました。QLD州、NSW州、SA州の主要都市で仕事と生活していましたので、都市の違いから皆さまの目的に沿ったベストなアドバイスを心がけています。 このカウンセラーに質問する

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