【体験談】動物保護先進国オーストラリアで休学留学

牛尾菜花さん | サンシャインコースト | University of the Sunshine Coast | 休学留学
日本の大学で自然環境や生物学を学んでいる牛尾菜花(うしおなのか)さん。休学して現在サンシャインコースト大学でAnimal Ecology(動物生態学)を主に学んでいます。苦手だった「英語」での講義や課題をいかに努力して乗り切っているか、また、オーストラリアの大学に来て感じた日本の大学との違いも伺いました。
菜花さんの留学プラン
・日本の大学を休学
  ↓
・2019年2月ー5月 付属語学学校(20週間)
  ↓
・2019年7月ー2020年6月 Study Abroad (1年間)
※2020年9月28日追記
菜花さんは2020年8月に留学を終え帰国しましたが、帰国前にオーストラリアで従事した動物保護ボランティアの様子について、本記事の末尾に追記しました。

思い立ったら即行動!動物保護先進国オーストラリアへ


幼い頃から野生動物に関わる仕事がしたいと漠然と考えていましたが、日本の大学ではそのような分野は狭き門で、環境や生物の分野に進学しました。

しかし、大学で学ぶうちにもっと野生動物について学びたいという思いが強くなり、動物保護において先進国であるオーストラリアで勉強したいと思うようになりました。

思いたったら即行動するタイプの私はまずオーストラリア留学センターが開催していた留学相談会に行き、そこでUSC(サンシャインコースト大学)のことを知り、トビタテに応募することを決意しました。USCを選んだのは日本人も少なく野生動物の勉強にも力を入れていたからです。

まずは付属語学学校EAPコースからのスタート(進学英語コース)


留学してまず最初の5ヶ月は英語コースに入り、EAPコース(English for Academic Purpose - 進学英語コース)の レベル1&レベル2を受講しました。EAPコースでは基本的にIELTS対策と大学で必要な英文レポート作成やプレゼンについて勉強しました。

クラスは10~20人ほど。グループワーク(ペアで行う課題)も多いのでアットホームでみんなで頑張ろう!という感じでとても良い雰囲気でした。授業も楽しく先生も親身になって教えてくださるので質問もしやすかったです。

放課後は教室に残って友達と課題をやったり、IELTS形式のテストを自主的に受けられる場や、先生に質問できる場が設けられているのでそういった場所を活用し勉強していました。

EAPコースで勉強した内容は大学に入った今とても役立っていますし、力を入れて勉強したリスニングは大学の講義だけでなく日常生活でも役立っていると実感しています。

EAPコースにはアジア(日本、韓国、中国が特に多いです)からの留学生が本当に多く、違うクラスの学生とも休憩時間にお話ししたり、みんな本当に優しく、ここでたくさんの友達ができました。

ここでできた友達は今でも仲がよく、留学生だから共感できる大変さを共有したり、一緒に遊んだり旅行にいったりと本当にお世話になっています。

2019年後期(Semester2)で履修した4科目と授業内容について

Semester2, 2019 菜花さんの時間割

コース1:ANM104 Marine Vertebrates
海洋生物全般に関して学ぶ科目です。毎週2時間のレクチャーと2回のフィールドワークで構成されていました。課題は2000字のレポートと学期末のテストです。

フィールドワークはレポートの基本となるデータを取りに行くためのもので、ホエールウォッチングとバードウォッチングをしました。

この二つのフィールドワークでは間近でクジラがみれたり、たくさんの鳥だけでなく野生のイルカを見ることも出来、これが本当に授業なのか?と思うくらい楽しくて思い出深い授業でした。

このコースではレクチャーにゲストスピーカーが来ることもあり、毎回興味深いお話が聞けました。

コース2:ANM103 Animal Form, Function, and Evolution
動物の機能や進化全般について学ぶ科目です。基本的には高校生物と内容はほぼ同じです。毎週2時間のレクチャーとラボで構成されていました(チュートリアルの時間も設けられていますが、質問できる時間ということみたいです)。

ラボでは酵素の働きをみる実験をしたり、パソコンを使ったバーチャルな実験などいろいろな事をしました。

ペア作業での豚の解剖もあり、日本の大学では豚のような高等動物を自分たちの手で解剖するというようなことはなかなかできないと思うので、いい経験になりました。

課題はラボの後に提出するワークシートと1200字のラボレポート、グループでの短いビデオ作成と学期末のテストです。グループでの課題では、同じグループメイトが本当にたくさん助けてくれました。

コース3:SCI102 Biodiversity and Ecology
主に生物の分類とそれぞれの特徴について学ぶ科目です。毎週2時間のレクチャーとラボ、1時間のチュートリアルで構成されています。

このコースでは専門用語が多いディスカッションはついていくのが大変で毎週のチュートリアルに苦戦しました。

ラボでは植物や菌、昆虫など色々なものを顕微鏡を見て観察しました。

課題は問題に答える形式のレポート、ラボのワークシートと学期末のテストです。

コース4:OES104 Foundations of Outdoor Environmental Studies
この科目では、人が自然をどのように捉えているのかを様々な価値観から考え、どうやって現在の自然観が形成されたのかを学びました。

さらに人為的な自然破壊は現在の自然観の弱点が作り出したもので、それはどうやって改善されるのかということにも着目しました。

日本で環境について学んでいたこともあり毎回の授業が楽しかったです。

ワークショップではサンシャインコースト周辺の先住民族「ガビガビ」の方から直接話を聞いたり、ネイチャージャーナルの書き方を教えてもらったり、この授業を取らなければ知ることのなかったことをたくさん知ることが出来ました。

フィールドトリップは上級生の引率で行われ、キャンプをする林間学校のような感じでした。ビーチの清掃やサイクリング、ハイキングなどのアクティビティを通してアウトドアの基本を学ぶだけでなく、先住民の歴史やオーストラリア特有の動植物についても学びました。

課題は全3回のテスト、自分の自然観についての2000字のエッセイ、ネイチャージャーナルの作成、グループでのプレゼンでした。

ネイチャージャーナルとは動植物の特徴や見て感じたことを絵で描いてまとめたものです。このコースで完成したこの一冊はとても満足感のあるもので、普段生活していてもこれはあの木だな、あの鳥だな、と今まで以上に自然を気にするようになりました。

※次の学期(Semester1, 2020) で履修予定のコース
・ANM100(Animal Ecology Field Course),
・ANM102(Endangered Animals and their Conservation)
・SUS101(Foundations of Sustainability)
・ENS120(Introduction to Environmental Management)

知識はあっても英語で苦戦・・・時間をかけてしっかり予習復習!


勉強は大変でした!いくつかの授業は高校の生物や日本の大学で学習していた内容もあったので理解しやすかったですが英語という部分に難しさを感じました。

特にチュートリアルではディスカッション形式で授業が進んでいき、事前にしっかり予習したと思っていても話の流れについていくことに精一杯で毎回苦しかったです。

講義も1回聴いただけでは理解するのが難しく、授業が終わってからオンラインで講義を何度も再生して聴いていました。一時停止しながら自分のスピードで進めていくので、毎回止めてばかりでなかなか進まず通常の倍くらいの時間がかかってしまいましたが、この時にしっかり理解しながら書いたノートなどはテスト勉強の際にも役に立っていて、自分に合った良い勉強方法だったのかなと思っています。

ラボでは授業中や授業後に答える質問を、毎回授業前に出来るだけ回答を準備するようにしていました。現地オーストラリア人の学生でもそこまで予習をしてくる人はなかなかいないので、むしろ、ここの答え何?と頼ってもらえることもありました。

どのコースの課題においても言えることですが、課題を書く際に参考文献から著作権にかからないよう上手く文章を書き変えながら引用する必要があり、ただでさえ長い論文を読むのに時間がかかるのでとても大変でした。

その中でもANM104 Marine Vertebratesの実習で得たクジラの行動に関するデータをもとに解析し、まとめるレポートは成績の半分の割合を占めることもあり一番重かったです。同じコースをとっていた日本人の友達や過去にこのコースをとっていた人からの助けも借りてなんとか終わらせることができました。

大変なことは多かったですが、どれも内容は興味深く楽しんでやれたと思います。

オーストラリアの大学は「参加型」!


日本で通っている私の大学が特に小さいということもありますが、サンシャインコースト大学に来てまずキャパスの広さに驚きました。校内にはカフェだけでなくたくさんの自習スペースがあり、図書館も24時間開いているので勉強しやすい環境が整っていました。

オーストラリアの大学では、日常的に多くの学生が熱心に勉強に励んでおり、日本の大学に比べるとやはり勉強量は多いと思います。

また、日本に比べると参加型の授業が多く、積極的に発言したり質問する生徒も多かったです

課題の量はむしろ日本の方が多いのかなという感じでしたが英語なのでどれも時間がかかりました。

オージーの朝は早いので授業もテストも開始時間が早く、夜型の私には辛かったです(笑)。

休日は友達の家でご飯を一緒に作ったり、ビーチ、山など自然と触れ合うなどのんびり過ごすことが多く、日本の大学生とは本当に違うゆっくりとした時間の過ごし方でした。

シェアハウス生活について


サンシャインコーストは田舎なので車があると便利だと思うことはありますが、人が優しく自然豊かななところが魅力です。知り合いじゃなくてもすれ違う人が挨拶をしてくれたりと、田舎ならではの人の温かみをとても感じます。

私は現在、オーナーであるオーストラリア人と韓国人と3人でシェアハウスに住んでいます。大学までは徒歩25分くらいで、家賃は1週間180ドルです(約14,000円)。トイレットペーパー、サランラップ、ジップ袋、などなどは支給してくれますし、調理器具も充実していて自由に使えます。

オーナーは会うたびに話しかけてくれ、韓国人のシェアメイトはもともと友達で、みんなでお互いに作ったご飯を食べ比べしてみたりとても楽しく生活しています。

私は韓国のドラマや音楽が好きで、そういうものを一緒に楽しんだり、韓国語も教えてもらえるのもとてもありがたいです。

休暇の過ごし方


少し前に、ジャパニーズフェスティバルのお手伝いのボランティアをしました。幼稚園の頃から高校性までずっと習っていた書道のブースを担当することになりました。

まず私がお手本として名前を漢字の当て字で書いてあげて、それを真似して書いてもらうという形でした。みんな楽しそうに書いてくれてとてもやりがいを感じました。

こうやって日本の文化を楽しんでもらえる場があるのはとても嬉しいことだなと思いましたし、続けていって欲しいです。

週末は友達とビーチに行ったり一緒にご飯を作ったり、ショッピングをしたりしています。ある時は友達とスカイダイビングに挑戦しました。滅多にできないことに挑戦できたのも、ここでできた友達のおかげだと思います。

旅行も時々行っていて、今までEAPコースの時の友達と、日本から遊びに来てくれた友達と、ゴールドコースト、メルボルン、シドニー、ケアンズに旅行に行きました。それぞれサンシャインコーストとは違った良さがあり楽しかったです。

特にケアンズに旅行でのアウターリーフが印象的でした。行きは船酔いで本当に大変でしたが、テレビで見るようなカラフルなサンゴ礁とたくさんの魚を見ることが出来ました。

オーストラリアは本当に大きいので場所によって気候や景色も全然違うし、いろんなところ旅行できるのでそれも楽しみのうちの一つです。オーストラリアにいるうちにできるだけいろんな場所に行きたいなと思っています。

「自分」を持ちながら相手を尊重する


語学の面においてはリスニングが特に伸びたと思います。私の中高時代を知っている友達からは「なぜ留学?」と言われるほどで英語への苦手意識はありましたが、今では日本からオーストラリアに遊びに来てくれた友達から「ちゃんと英語力伸びてるすごいね」と言ってもらえます。

また、良い意味でも悪い意味でも周りに流されることのない自分というものに気づけたのも一つ成長だと思います。

自分とは全く違うバックグラウンドを持つ人がほとんんどという環境の中で、相手と同じように寄せていこうというのではなく、しっかり自分を持ちながら相手を尊重することができているように思います。

一方で、自分の人見知りで自信のない性格と英語力の不安から、コミュニティに参加したり英語で話しかけてみるなど積極的に挑戦するとうことは少なかったです。次のセメスターで最後なので、少し無理してでも自ら貪欲に外に出ていきたいなと思っています。

将来のキャリアについて


英語を勉強するチャンスができたこと、日本にいたらできなかった新しい事を見て感じてしれたことは今後の人生の糧にもなると思うし、大切な友達もできたのでUSCに留学して本当によかったと思っています。

次のセメスターが終わった後、日本に帰国する前にオーストラリアでボランティアをしたいです。動物保護先進国であるオーストラリアの保護活動を実際目で見て感じたいと思います。

そして将来は、日本特有の里山を活かした野生動物を含めた自然環境と人との共生に貢献できる人材になりたいと考えています。そのために、留学が終わって帰国したら日本の大学に復学卒業し、大学院に行くことでさらに知識を深めていきたいと思います。

留学を終え、帰国前にボランティアへ(2020年9月28日追記)

留学が終わってボランティアに参加してから日本へ帰国したNanokaさんに、ボランティアでの体験談を伺いました。

ボランティア先の探し方

コロナ禍でほとんどの団体が新規のボランティアを募集しておらず、Work awayという登録すれば誰でもボランティアを募集、応募できるサイトを使い見つけました。

ボランティア先と仕事内容

2020年8月、留学を終えて帰国する前にクックタウンで3週間ボランティアをしました。クックタウンはケアンズよりも飛行機でさらに北に向かった観光客も少なく自然豊かな所です。アボリジニーのルーツをもつ人たちも多く歴史的な場所として有名です。



私がお世話になったのは夫婦でワラビーの保護、ファーム、をしている個人宅で、2人とも平日は仕事があるので、ホームステイをしながらお手伝いをするという感じでした。動物園のような整った施設ではなく、大工のお父さんが手作りで作ったような場所でした。保護されたワラビーを主に動物たち(馬、鶏、鴨、鳩、3匹の犬)のお世話、ガーデニングなどが毎日の仕事でした。洗濯や皿洗いなどの家事もしました。


「命を扱うということ」「保護活動を継続するために」


私がボランティアに来た日、突然ワラビーが死んでしまいました。1匹にとどまらずそれから毎日、急に体調を崩し、死んでいってしまうことが続きました。しかし、車で5時間ほどのところにしか動物病院はなく、SNSを通じて、獣医の知り合いや同じく保護をしている人に相談しましたが、原因はわからず、家にある薬も限られていました。夜な夜な話し合い、一つずつ原因となり得そうなことを探しては対策を施すことしかできませんでした。

「ボランティア楽しそうだな」という軽い気持ちで来ていた私は、命あるもののお世話をする以上、ちゃんと責任感を持って接しないといけないことを痛感しました。

幸いにも帰る頃にはこの悲しい連鎖を食い止めることができましたが、個人での保護活動は、たとえ長年の経験があっても、何かトラブルが生じたとき対処に苦慮することもあり、限界があると感じました。保護活動には専門家との密接な連携が必要不可欠で、さらにこの連携は個人の負担軽減し、保護活動の継続にも繋がるのではないかと思いました。


1日の出会いでソウルメイトに!


ボランティアしていた夫婦の友達にクックタウンを案内してもらう機会があったのですが、そこでの出会いも思い出深いです。彼女はトルコからワーホリできていて環境問題、政治、文化など多様な分野に関心を持っていました。今まで環境問題などを真面目に話し合えるような友達がいなかったのでとても新鮮でした。彼女は私の考えにもとても興味を持ってくれて、たった1日の出会いだったけれどソウルメイトと呼んでくれるまで仲良くなれました。

コロナ禍で見つめ直すサステナブルなライフスタイル


クックタウンでは、水は雨水を貯めたもの、電気はソーラーパネルを使っています。野菜や卵、スパイスなどの多くは自分たちの手で育てたものでした。それだけでなく、柵を作る時も敷地内にある木から手作りでした。
このようなライフスタイルはサステイナブルな生活に興味があった私にはとても貴重な経験でした。加えて、コロナ禍で、いつまたロックダウンが起こるかわからない状況で、「生きていく最低限のもの」を自分たちで生み出す力はとても重要になってくると感じました。

クックタウンでの時間はどれも本当に意味のあるもので、ボランティアに参加して本当によかったと強く思いました。これからここで学んだことを発展させ、環境と人間がより上手に共生していける世の中を作ることに貢献したいという思いが強くなりました。
豪政府認定留学カウンセラーPIER資格保持
(QEAC登録番号H318)
13歳でのメルボルン短期留学をきっかけに「英語」と「海外」に目覚め、その後カナダ(語学留学)とアメリカ(大学留学)にも留学。卒業後、ワーキングホリデーでオーストラリアへ再渡豪し、オーストラリア留学センターでワーペリ。帰国と同時にオーストラリア留学センター日本窓口が開設され現職へ。留学生を現地オーストラリアで「迎え入れる立場」と日本から「送り出す立場」、両側での勤務経験を通して、双方の視点からアドバイスすることを心がけています。 このカウンセラーに質問する

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