留学前は6年ほど、東京にある外資系ホテルで働いていました。
将来のキャリアを考えた時に、英語圏にてホテルマネジメントを勉強することが自分にとって必要であると考えました。日本のホテルにおいても、総支配人など経営に携わる多くの方が海外でホテルマネジメントを学んだ経験をお持ちだったからです。
残念ながら日本にはホテル経営学の修士号を取得できる大学はなかったので、海外留学の挑戦をしようと決意しました。
留学を考え始めた時、様々な国のホテルマネジメントスクールについて調べました。授業内容、授業料、修士号が取得できるという点、卒業までの年数、都市の治安など、すべてを考慮したところ一番バランスが良いと感じたシドニーのBlue Mountains International Hotel Management School (BMIHMS)に決めました。
またBMIHMSは多くの外資系ホテル運営会社からの信頼性が世界でもトップクラスであるということも、決め手の一つとなりました。
最初の学期では、顧客満足度について論文や教科書を元に論理的に学んだり、ブルーマウンテンにあるキャンパスにてレストランサービス実習やハウスキーピング実習などを行いました。
その後、ファイナンスやマーケティングの授業をはじめ、リーダーシップ論や起業家論なども学びました。その分野のスペシャリストによる授業は、大変質が高く充実したものでした。
ちなみにBMIHMSは校内でのスーツ着用が義務づけられています.(大学院生の場合ユニフォームはありませんが、スーツの準備が必要です。)
実技科目については難無くこなすことができ、クラスメイトからも頼られる存在になりました。また日本で働いていたホテルが外資系だった為、クラス内に数人いた同ブランドホテルの出身者とより深く話をすることができました。
アルバイトを探す際にも、経験者ということがアドバンテージになったと思います。
Hotel Guest Experience という授業です。様々なホテル会社やホスピタリティ業界で行なっている顧客満足度向上の戦略を研究した上で、自らの考えをレポートにまとめました。以前の職務経験に学術が加えられ、より深い理解に繋がりました。
また、最終科目であるStrategic Hotel Management では、チームに分かれソフトを使い実際にホテルの運営をするロールプレイをしました。チーム内でホテルの方向性や戦略を話し合い、客室単価、人件費、施設費、広告費などを決めて、売上を上げて行くというものです。
チーム内でも「部屋の売値を上げる、上げない」など意見の相違があるので、そういった時にどうチームメイトを説得し納得させるかなど、実際の職場でも起こりうる場面が多々あり考えさせられました。自分のチームが総合ランキングで一位になった時は最高の気分でした。
一番の苦労はやはり英語です。日本でしっかりと勉強をしてきたつもりではありますが、ヨーロッパ系はもちろんインドや他のアジア各国から来た学生達と、英語で対等に話し自分の意見を伝えるということが、常に難しく感じていました。
ホリデー期間中、大学生は旅行をしたり、アルバイトをしたり、人それぞれです。
学生ビザでは、アルバイトをし過ぎて勉強に支障が出ぬよう、授業のある期間は2週間で40時間の就労制限がありますが、ホリデー期間は就労時間の制限がなくなるため、私はアルバイトに集中し、学費をまかないました。
留学をするにあたり会社を辞める時には、やはり安定した職を失う事に関して、少なからず不安はありました。約400万円(申込時)の費用が必要であったため、たくさん悩みましたが、夢の実現のために決意しました。
初めて学校の図書室に入った時です。大きな図書室とは言えませんが、そこには自分がずっと勉強をしたかったホテルマネジメントの教材、関連書籍がずらりと並んでおり、それらを見た時には本当に興奮しました。学校の中でも私の一番好きな場所です。
それから学校の卒業式です。2年間努力をした最後に、家族やクラスメイトと喜びや達成感を共有することができ、とても感動しました。世界中から集まった素晴らしい友人達との出会いは、私にとってかけがえのないものとなりました。また、私の妻は2年以上日本に留まり辛い思いもさせてしまったのですが、両親含め家族に自分の晴れ舞台を見てもらい、少しでも恩返しができたかなと思います。
日本との大きな違いは、新卒者採用が無いことです。自らホテルの採用サイトや求人サイトを通して応募をし、面接をすることになります。BMIHMSでは常にホテルでのボランティア募集や求人情報などを配信しているので、様々な機会を見つけられます。
例えば、在学中にインターンからアルバイトとなり、その後社内応募などで正社員採用、という流れが一般的です。ただ、卒業時に必ず次のオファーがもらえるのではなく、自ら希望のポジションに応募をします。役職はつかなくても、卒業を機に別の部署に異動をしたり、別のホテルや別の都市に行く人もいます。
私の場合、学生時代のアルバイトは、ホテルの採用募集サイトを通して応募しました。とにかくホテルでアルバイトをしたかったので、シドニー内のいくつかのホテルに応募しました。街場のカフェなどは飛び込みでレジュメを渡すというのは聞いたことがありますが、多くのホテルは採用募集サイトからの応募になります。レジュメは語学学校の先生に添削をお願いしました。
私は日本でも系列のホテルで働いていたのですが、シドニーでの応募時には前職からの紹介等は通していませんでした。ただ、後々聞いた話では、ホテルの人事部から前職のホテルに私に関して問い合わせがあり、とてもお世話になっていた方が私のことを良く書いてくれたそうです。ですから、前職のコネがあったかといえば、そうかもしれません(笑)
大学院卒業後のポジションについては、社内募集があったので自ら応募しました。その際には、普段から相談に乗ってくださっていたホテルの人事部長や友人、妻などとも話をし、決意しました。社内で応募の際も、レジュメの提出、人事部と該当部署の部長との面接があり、採用が決まります。
アウトドアが好きな方はビーチへ行ったりBBQをしたり、コーヒーが好きな方はカフェ巡りしたり、ビールが好きな方はブリュワリー巡りしたり、その他美術館や週末のマーケットやフェスティバル等、楽しめるスポットはたくさんあると思います。私はサーフィンにチャレンジしました!
「世界中から見た日本」を客観的に知ることができました。日本のどんなところが素晴らしいのか、どんなところが他国より劣っているのか、日本はどんなに世界から愛されているのか。外に出てみないと感じることができない経験ができました。
今後は、大学にて2年以上学ぶと取得可能なPost Graduate Visaを取得し、2年間オーストラリアで働く予定です。世界各国の様々な価値観や国民性を知ることができたので、日本以外のゲストに対しても、より柔軟に対応できると思います。
また、日本人代表のホテリエとして、日本人特有のきめ細かさや勤勉さ、ホスピタリティ精神を職場で発揮し、多国籍から成る所属部署に良い影響を与えていけたらと思います。
今しかできない海外での貴重な経験を糧に、将来日本へ帰国した際、ホテル業界で活躍できるようになりたいです。
私は学校を卒業した今も英語に苦しむことがあり、日々勉強の毎日です。日本にいる間にできるだけ英語力をあげておくことで、留学期間の充実度が大きく変わってきます。
留学にはもちろん多少のリスクが伴うと思います。時間とお金も必要になります。反対する人もいるでしょう。しかし、「自分が信じた道を究めたい」「必ず達成したい目標がある」という強い想いがあるのであれば、大丈夫です。私は、結婚した後に留学をしましたし、学校の友人の中には子供がいる人もいます。学生でも社会人でも、海外に出れば年齢は重要ではありません。10年後20年後に後悔しないように、今やってみるべきです。
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