日本の大学で経済学を学んだ後、金融関係の会社に就職。職場にも恵まれ楽しい日々を送られながらも、”留学への憧れ”をなかなか捨てることが出来ませんでした。
そして、2011年の東日本大震災をきっかけに「後悔した人生を送りたくない」「命があるうちはチャレンジしなければ!」と一発奮起。ワーキングホリデーでオーストラリアのゴールドコーストへ。
ワーホリ時代に語学学校通学とローカルのお仕事で英語力を飛躍的に伸ばし、その後サザンクロス大学でMaster of Professional Accounting(会計学の修士号)を学び、2015年11月に卒業されました。
大学院での生活、オーストラリアでの会計学について、そして卒業後のビジョンまで語っていただきました。
1年間のワーキングホリデーを終えるとき、英語力が伸びていることは実感していましたしIELTSの結果もそれを証明してくれました。ただ帰国後の再就職について考えたとき、それ自体が強みになるとは思えませんでした。私よりも英語ができる人なんて日本にはたくさんいます。それに英語はあくまでコミュニケーションツールであり、英語を使って何かできなければ強みにはならないと思いました。そこで、元々得意だった財務会計分野での大学進学を決めました。
私が学んだProfessional Accountingのコースは、大学の専攻が会計学でなくても入学が出来るコースでした。
つまりこの分野の知識がまったくない人も入学してくるので、簿記や経済学、法律、財務分析技術などの基礎科目も学びます(ただし、基礎と言っても求められるレベルは高いです)。実用的な科目では会計監査や税務などを学びます。
他の学部では理論や定義を学んだ後、実用的な分野や詳細な科目に移りますが、会計学ではまず実用的な技術を学んだ後、最後に理論でそれらを裏付けして仕上げをします。この最後の「Contemporary Issue in Accounting Theory (会計理論と現状における問題)」という授業が私は一番面白かったです。
勉強に対する自主性が強く求められることが、日本の大学と大きく違いました。ただ教室の授業を受けるだけでは、オーストラリアの大学は卒業出来ません。授業以外の時間で自分で教科書を読み、オンライン講義などを視聴して自分で理解する時間を作らなければ、教室で行われる演習にまったくついていけません。1科目につき2、3回提出しなければならない課題も、自分で大量の論文を集めて読んで取捨選択して組み立てるのが前提です。 そのため、いわゆる授業のようなものは週2時間×3科目ですが、大学には週5日通い、課題が大詰めにさしかかると朝9時から夜9時までコンピュータルームに籠るなんてこともまれではありませんでした。
どんなに勉強が大変でも、大学から見えるこの景色にいつも癒されていました。
レポートの書き方はとても苦労しました。そもそも日本語とは文章の組み立て方が違います。結論を書いてから補足説明をしていくという考え方を理解し、慣れるのが大変でした。パラフレーズ(表現を変える方法)やリファレンス(参考文献)の書き方も重要です。特にオーストラリアはプレジャリズム(他の論文などをコピーして提出すること)にとても厳しく、レポートは提出する前に、世界中の英語で書かれたあらゆる論文や新聞記事、ブログなどと比較し類似率まで出してくれる機能のついたシステムを通さなけばならないので、これらの技術は必須です。
私は、大学のアカデミックサポートなどを利用することで克服しましたが、今後進学を考えている方には、英語力に自信があっても進学英語コースなどを事前に受講することをお勧めします。
3学期制だったことが一番の理由です。オーストラリアの多くの大学は2学期制で通常1学期に4科目を受講しますが、3学期制の場合1学期に受講する科目は2~3科目です。英語のネイティブスピーカーではないというハンデをカバーするためには、通常より少ない科目を集中して学んだ方が効率的だと思いました。
ゴールドコーストキャンパスは 建物がふたつしかない小さなキャンパスなので、学生同士、教授、スタッフとの距離が近く、しっかり勉強できる環境が整っています。授業外でもクラスメイトと課題の方向性について議論したり、わからないところを教え合ったりします。教授たちもかなりの頻度でメールなどをチェックして返事をくれるので授業外でも質問することできます。アカデミックサポートやキャリアサポートの予約もとりやすいし、スタッフもフレンドリーです。特にインターナショナルオフィスのドアが開いているときはいつでも立ち寄ることができるので、ちょっとした悩みを相談することもできます。
とってもお世話になった大学のStudent supportスタッフのセイラ。卒業式で記念写真!
人数が多い大学ではこういったきめ細やかなサポートを受けるのは難しいと思うので、留学生としては非常に心強かったです。
また、授業や自主学習の合間にリラックスできる環境も整っています。コモンルームや中庭にはソファーチェアがあり、無料のヨガクラスなども開かれています。空港に隣接しているので他に高い建物がなく、大きな窓から青々と広がる海を眺めることもできます。ここでコーヒーを飲むのが私のお気に入りでした。
大学のアクティビティで行った、真夏のゴールドコーストでアイススケート。
オーストラリアで学んだことで、外資系など多国籍な環境で働くための準備が整ったと思います。
多国籍な環境で働くということは、文化や考え方、価値観が大きく違う人たちと仕事をするということです。その違いを理解し、時には相手に合わせなければスムーズに物事を進めることはできません。
大学ではグループワークなどを通じて色々な国の人とプロジェクトを進めましたが、日本人の私には理解が出来ないようなことが多々起きました。その経験を活かし、「マイペースなお国柄の人がいる場合はこうやってスケジュールを組み立てよう」など、文化の違いによって対処する術を身につけることが出来ました。この体験は、今後国際的な環境で仕事をしていく上でとても役に立つと思います。
大学院を卒業しただけではオーストラリアで会計士にはなれません。高い英語力、会計士になるための講座の受講と試験、実務経験などまだまだ長い道のりがまっています。
2016年、日本の会計を取り巻く環境は大きく変わります。2016年3月期決算より国際会計基準が導入され、2016年4月には消費税増税に伴うインボイス制度が導入されます。これに伴い日本の会計士にも、こういった知識が求められてきます。
実は、この両方ともオーストラリアでは15年以上前に導入されています。つまり、オーストラリアで会計学を学ぶということは、オーストラリアだけでなく、今後日本国内でも必要とされる知識を身につけるということなのです。
今後、国を問わず会計士としてキャリアを積んでいきたいとお考えの方には、オーストラリアで会計学を学ぶというのは賢い選択だと思います。
Yumiさんがご入学された期の修士課程の会計学部は日本人留学生が彼女1人しかおらず、言葉の壁や文化の違いを理解してくれる仲間も出来ずに最初は大変な思いをされていました。
教授やクラスメイトと積極的にコミュニケーションを取ることを心がけ、またとにかく勉強量を増やし良い成績を取れるように努力された結果、最終年度のGPAが6以上の成績優秀者に送られる証書も受け取っての卒業となり、華々しく大学院生活に幕を下ろしました。
今後はオーストラリアで国際会計士を目指し、さらにIELTSや会計学の勉強を重ねられるとのことですが、持ち前のやる気でぜひ夢を実現していただきたいです!
当サイト記載の情報の正確性には万全を期しておりますが、当社はそれらの情報内容に関し、一切の責任を負いかねますのでご了承ください。また、情報は予告なしに変更となる場合がございますので、随時ご確認ください。