必修は1科目だけ。専攻から逆算して選ぶUNSW College サイエンス・ディプロマ

UNSW Collegeの校舎の外観UNSW CollegeのDiploma of Scienceは、1年間学んで条件を満たすと、ニューサウスウェールズ大学(UNSW)の理学部(Bachelor of Science)の2年次へ進める進学ルートです。科目の選び方、進学の条件と選べる専攻、学費、UTS Collegeとの違いをまとめました。


高校を卒業して1年後に、UNSWの理学部の2年生として学び始める。そのための12か月です。

UNSWの理学部は、化学・生物学・物理学・数学など幅広い分野を学べる学部で、理系の進学先として名前の挙がることが多い大学の一つです。ただ、日本の高校から直接1年次に入るには、高い英語力と成績が求められます。

そこで選択肢になるのが、UNSW Collegeで1年間学び、UNSWの2年次に合流するディプロマ(Diploma/大学1年次に相当する課程)のルートです。ファウンデーション(大学進学準備コース)を経由する場合と比べて、トータルの在学期間を1年短くできます。

ただし、ディプロマは「入れば自動的にUNSWへ進める」課程ではありません。この記事では、進学の条件や科目選びの注意点も含めて、このルートが自分に合うかを判断する材料を整理しています。

UNSWのキャンパスで、少人数で学ぶ1年間

白衣とゴーグルを着けて研究をする研究者UNSW Collegeは、UNSWへの進学準備を担う教育機関で、ディプロマの授業はシドニーのUNSW Kensingtonキャンパス内の校舎(Building L5)で行われます。

内容はUNSWと共同で作られた大学1年次相当のもので、UNSWの図書館や施設、クラブ活動も利用できます。

このディプロマの特徴は、1クラス約20人の少人数制と、UNSWの1年次よりも授業時間が少なくとも20%多く設定されている点です。週あたりの授業時間は約20〜25時間で、大学の1年次の内容を、先生との距離が近い環境で学ぶ設計になっています。

日本の高校から、いきなり数百人規模の大教室で英語の講義を受けるのは、正直なところかなり大変です。最初の1年をこの環境で過ごし、英語で学ぶことに慣れてから大学に合流できるのが、ディプロマを選ぶ一番の理由だと私は考えています。

なお、このコースは2024年8月にDiploma in Science(CRICOS 095862A)から現在のDiploma of Science(CRICOS 113049K)に切り替わっています。古い情報を見かけたときは、コース名とコードを確認してください。

必修は1科目だけ。進みたい専攻から逆算する科目選び

授業中にノートに書き込む学生たちの手元ディプロマは全8科目・48単位(1科目=6単位)で、1年を3つの学期に分けて学びます。必修は英語での学び方を身につける1科目だけで、残りの7科目は下の13科目から選びます。

科目コード 必修科目(1科目・6単位)
AELC1304Communication and Academic Literacy 4(アカデミックな英語コミュニケーション)

科目コード 選択科目(13科目から7科目・42単位を選ぶ)
MTHS1312Fundamentals of Mathematics B(数学の基礎B)
MTHS1313Mathematics 1A(数学1A)
MTHS1314Mathematics 1B(数学1B)
CHMS1331Chemistry A: Atoms, Molecules and Energy(化学A:原子・分子・エネルギー)
CHMS1332Chemistry B: Elements, Compounds and Life(化学B:元素・化合物・生命)
BLSC1341Evolutionary and Functional Biology(進化生物学と機能生物学)
BLSC1342Molecules, Cells and Genes(分子・細胞・遺伝子)
BLSC1343Applied Biomolecular Sciences(応用生体分子科学)
PHSC1321Physics 1A(物理学1A)
PHSC1323Higher Physics 1A(上級物理学1A)
PHSC1322Physics 1B(物理学1B)
PHSC1324Higher Physics 1B(上級物理学1B)
MTSC1361Design and Application of Materials in Science and Engineering(理工学における材料の設計と応用)

物理は、専攻に応じて「物理学1A」か「上級物理学1A」、「物理学1B」か「上級物理学1B」のどちらかを履修します。7科目の組み合わせは、UNSWで進みたい専攻ごとの推奨履修計画に沿って決まります。

選択科目が多いと「好きな科目を自由に選べる」と思われがちですが、実際には2年次に進む専攻から逆算して選ぶ、というのが正確です。どの専攻に進むかで、1年次に履修しておくべき化学・生物・物理・数学の組み合わせが変わるためです。

そのため、「理系ならどれでもいい」という段階で入学すると、途中で選び直しに困ることがあります。入学前に、少なくとも生命科学系・化学系・物理系・数学系のどの方向に進みたいかは考えておきたいところです。

UNSWの2年次に進むための条件と、選べる専攻

UNSWキャンパスの風景ディプロマを修了し、UNSWの入学条件を満たすと、UNSWのBachelor of Scienceの2年次に進みます。条件として示されているのは、次の2点です。

2年次に進むための条件 内容
英語での学び方の科目(Communication and Academic Literacy)「Satisfactory」の評価(70%以上。IELTS 6.5相当とされています)
そのほかの科目すべての科目で合格点以上

ここで大事なのは、英語の科目だけ基準が高く設定されている点です。化学や数学で合格点を取っていても、英語の科目で70%に届かなければ、UNSWへは進めません。

UNSW Collegeが公表しているディプロマ修了生の2年次への進学率は約90%ですが、1年間で英語をIELTS 6.5相当まで引き上げる意識は欠かせません。

2年次から選べる専攻(Major)は、次の16分野です。分野のまとめ方は、読みやすさのために当社で整理したものです。

分野 2年次から選べる専攻
生命科学系Anatomy(解剖学)、Biology and Biodiversity(生物学と生物多様性)※、Genetics(遺伝学)、Microbiology(微生物学)、Molecular & Cell Biology(分子細胞生物学)、Pathology(病理学)、Pharmacology(薬理学)、Physiology(生理学)、Food Science(食品科学)※
化学・材料系Chemistry(化学)、Materials Science(材料科学)
物理・海洋系Physics(物理学)、Physical Oceanography(物理海洋学)、Marine and Coastal(海洋・沿岸科学)※
数学系Mathematics(数学)、Statistics(統計学)

※印の専攻は、2年次に特定の科目の履修が必要で、卒業までの期間が延びる場合があります。この一覧にない専攻を希望する場合も、共通する科目について単位の振替を受けられることがあります。

卒業後の進路例としては、環境科学者、疫学者、地球物理学者、医療検査技師、海洋生物学者、栄養士、薬剤師、理科教育者、獣医科学者などが挙げられています。

もちろん、これらは考えられる進路の例であり、卒業すれば就けると保証されるものではありません。特に薬剤師や医療系の職種は、理学部の卒業だけでは就けず、別の専門課程や資格登録が必要になるのが一般的です。理学部はその土台をつくる場所だと考えてください。

このディプロマが向いている人、別のルートも比べたい人

大学の図書館で休憩する学生たちこのディプロマが向いているのは、高校で数学や理科を得意科目にしてきて、UNSWで理系の分野を学びたいと考えている方です。

大学1年次の内容を少人数で学べるので、英語での授業に不安がある方にとっても、無理のない入り方だと考えています。

また、「理系に進みたいけれど、化学か生物か、まだ絞り切れていない」という方にも、悪くない選択肢です。最初から完璧に合う専攻を探し当てようとするより、1年次の基礎科目を実際に学んでみて、手応えのある分野に進むほうが現実的です。

ただし、前の章で触れたとおり、方向性の大枠だけは入学前に考えておきましょう。

一方で、薬剤師・医師・獣医師などの資格職を最初から目指している方は、その資格につながる専門の課程と比べたほうがよいでしょう。理学部経由で目指せる道もありますが、期間も費用も変わります。

また、英語力がまだIELTS 5.0前後という段階であれば、先に英語コースやファウンデーションを経由するほうが、結果的に遠回りにならないこともあります。1年間で理系科目と英語の両方を伸ばす必要があるため、スタート時点の英語力は判断の大きな材料になります。

入学条件と、ほかの進学ルート

机をはさんで相談し、握手する2人留学生の入学条件として示されているのは、所定の英語力に加えて、数学の最低成績と、関連する理系科目の基礎知識です。

日本の高校の成績で、どの科目の何点以上が目安になるかは一律に示されていません。高校の種類や履修した数学・理科の範囲まで見て判断されるため、当社では成績証明書を拝見したうえで目安をご案内しています。入学に必要な英語のスコアも、出願時期に合わせて当社でご案内します。

ルート こんな方に UNSWでのスタート
UNSWに直接入学成績・英語ともにUNSWの基準を満たしている方(英語はIELTS総合6.5〈ライティング6.0、各技能6.0以上〉が目安)1年次
ディプロマ経由数学の条件を満たし、UNSWへの直接入学の条件には届かない方2年次
ファウンデーション経由ディプロマの学業条件に届かない方1年次

ディプロマの学業条件に届かない場合は、先にUNSWのファウンデーション(大学進学準備コース)で学んでからUNSWを目指すルートがあります。

日本国内で受講するルートは日本で受けるUNSWファウンデーションの記事、UNSW College全体の進学ルートはUNSW Collegeの解説記事で紹介しています。

英語力が足りない場合は、UNSW Collegeの大学進学英語コース(University English Entry Course/UEEC)を先に受講する方法もあります。

どのルートが近道になるかは、今の成績と英語力の組み合わせで変わります。点数だけで「このルートしかない」と決めつけず、一度まとめて比べてみるのがおすすめです。

UTS Collegeのサイエンス・ディプロマとの違い

ガイドランナーと並んでスタートの構えをとる陸上選手シドニーには、シドニー工科大学(UTS)の理系学部へ進むUTS CollegeのDiploma of Scienceもあります。どちらも1年間で大学の2年次に合流する仕組みですが、進学先の分野と期間の選択肢が異なります。

項目 UNSW College Diploma of Science UTS College Diploma of Science
進学先UNSW Bachelor of Scienceの2年次(16専攻)UTSの理系学部の2年次(サイエンス、環境科学、法科学、海洋生物学、数学、医科学など)
期間12か月(3学期)12か月(3学期)。8か月の短期版もあり
学びの分け方13科目から専攻に合わせて7科目を選ぶ生命科学(Life Sciences)と物理科学(Physical Sciences)の2コース
進学の条件英語での学び方の科目で70%以上(IELTS 6.5相当)、ほかの全科目で合格全科目で合格
学費A$49,440(日本円で約5,537,280円)(2027年度・コース全体)当社でご案内
キャンパスUNSW Kensingtonキャンパスシドニー市内(UTS College)

解剖学・薬理学・物理海洋学など専攻の幅を広く残しておきたい方は、UNSW Collegeが候補になると考えています。

一方で、法科学(Forensic Science)や医科学(Medical Science)など、UTSならではの分野に関心がある方や、8か月で早く合流したい方は、UTS Collegeも比べてみてください。

どちらが上かではなく、2年次以降に何を学びたいかで選ぶ学校が変わります。

2026年度・2027年度の学費とその他の費用

オーストラリアドルの紙幣と電卓、ノートとペン学費は1科目ごとに設定されていて、8科目分の合計がコース全体の学費になります。ディプロマは1年間のコースなので、下の「コース全体」の金額が、ほぼ1年分の学費にあたります。

年度 1科目あたり コース全体(8科目)
2026年度A$6,060(日本円で約678,720円)A$48,480(日本円で約5,429,760円)
2027年度A$6,180(日本円で約692,160円)A$49,440(日本円で約5,537,280円)

学費は毎年見直される目安額で、授業料のみの金額です。

このほかに、学生サービス・アメニティ費(Student Services and Amenities Fee/SSAF)として、2027年度はフルタイムの場合1学期あたりA$129(日本円で約14,448円)がかかります。

さらに、留学生用の医療保険(Overseas Student Health Cover/OSHC)、学生ビザの申請料、渡航費、生活費も必要です。シドニーは生活費が高い都市なので、住まいの選び方も含めて、総額は個別にお見積りしています。

コース概要

項目 内容
教育機関UNSW College(CRICOS 01020K)
コース名Diploma of Science(CRICOS 113049K)
期間12か月(3学期・全8科目・48単位)
学費A$49,440(日本円で約5,537,280円)(2027年度・コース全体の目安額)
入学時期年3回(1月・5月・8〜9月頃)。正確な開始日は当社でご案内
授業時間週約20〜25時間・1クラス約20人
キャンパスニューサウスウェールズ州シドニー・UNSW Kensingtonキャンパス(Building L5)
進学先UNSW Bachelor of Scienceの2年次(条件あり)

情報の最終確認:2026年10月31日(当社にて最新情報を確認)

出願前によくいただく質問

このコースについて、日本の高校生とその保護者の方からいただくご質問をまとめました。

修了すれば必ずUNSWに進めるのか、科目と専攻をいつ決めるのか、そして薬剤師や医療系の仕事につながるのか——実際に多いのはこの3つです。

Q. ディプロマを修了すれば、必ずUNSWの2年次に進めますか?
A. 自動的に進めるわけではありません。英語での学び方の科目で70%以上(IELTS 6.5相当)を取り、ほかの全科目で合格したうえで、UNSWの入学条件を満たす必要があります。特に英語の科目の基準を意識して、1年間を計画することが大切です。

Q. 専攻は、いつまでに決める必要がありますか?
A. ディプロマで選ぶ7科目は、2年次に進む専攻の推奨履修計画に沿って決まります。そのため、入学時点で生命科学系・化学系・物理系・数学系のどの方向に進みたいかは考えておくと安心です。細かい専攻まで決まっていなくても大丈夫ですが、迷っている場合は入学前に一緒に整理しましょう。

Q. 理学部を卒業すれば、薬剤師や医療系の仕事に就けますか?
A. 薬剤師や医療系の資格職は、理学部の卒業だけでは就けず、別の専門課程の修了や資格登録が必要になるのが一般的です。理学部で薬理学や生理学を学ぶことは、その土台づくりになります。最初から資格職を目指している場合は、専門の課程と比べたうえで進路を考えるのがおすすめです。

Q. 数学や理科はどのくらいできる必要がありますか?
A. 入学条件として数学の最低成績と、関連する理系科目の基礎知識が求められます。数学1Aの前提知識が足りない場合は、基礎の科目から始める組み合わせもあります。高校で履修した数学・理科の範囲と成績によって目安が変わるため、成績証明書をもとに当社でご案内します。

カウンセラーから一言(オーストラリア留学センター シドニーオフィス 大越 麻結)

UNSWの理学部を目指したいというご相談をいただいたとき、最初に伺うのは「理系のどの分野に一番手応えを感じているか」ということです。

化学なのか、生物なのか、物理や数学なのか。この答えによって、ディプロマで選ぶ7科目が変わってきます。

ディプロマは1年でUNSWの2年次に進める魅力的なルートです。ただ、選択科目が多いぶん、「何となく理系」のまま入学すると、科目選びで迷ってしまうかもしれません。方向性の大枠を入学前に決めておけるかどうかで、この1年の過ごし方はかなり変わる気がします。

次に伺うのは、今の英語力です。英語の科目でIELTS 6.5相当まで伸ばす必要があるので、スタート時点の英語力によっては、先に英語コースやファウンデーションで準備したほうが、結果的に早くUNSWにたどり着けることもあります。

「理系が得意だから大丈夫」と一つの要素だけで決めてしまうのは、少しもったいないですよね。成績、英語力、そして将来どんな仕事に理系の力を使いたいか。この3つを並べて、UNSW College、ファウンデーション、UTS Collegeなどのルートを一度比べてみてくださいね。

当社では、成績証明書を拝見しながら、その比較を一緒に進めています。シドニーで理系の専門を深めたい方の不安が、少しでも和らげば嬉しいです。

UNSW College・ニューサウスウェールズ大学(UNSW)への進学相談はオーストラリア留学センターへ

ディプロマとファウンデーションのどちらの条件に届くか、数学・理科の成績や英語力で何が足りないか、どの専攻に向けて科目を選ぶか、UTS Collegeなど他校のルートとどちらが合うかまで、成績証明書を拝見しながら一緒に考えます。お問い合わせフォームからお気軽にご相談ください。すべて無料でサポートしています。
豪政府認定留学カウンセラーPIER資格保持
(QEAC登録番号G175)
留学カウンセラー歴23年。高校時代の短期留学をはじめ、ワーキングホリデー、学生ビザでの専門学校進学など、私自身もシドニーでさまざまな留学を経験してきました。留学は一人ひとり目的も状況も異なり、「正解」が一つではないことを実感しています。こうした経験が、現在のカウンセリングの土台になっています。 インターネットには多くの情報がありますが、同じ留学プランがすべての方に合うわけではありません。留学の目的や英語力、ご予算、これまでの経験、将来の希望などを丁寧に伺いながら、選択肢を一緒に整理し、その方に合った現実的なプランを考えることを大切にしています。 過去には東京オフィスにも勤務し、現在はシドニー現地で、ワーキングホリデーから長期語学留学、専門学校、大学・大学院進学まで、幅広い留学に携わっています。日本で留学を考え始める段階から、現地での生活や学び、そして卒業までを見据えてサポートしています。何から考えればよいか分からない段階でも大丈夫です。一緒に情報を整理し、ご自身に合った留学への第一歩を見つけていきましょう。 このカウンセラーに質問する

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