工学部の1年目を、UNSWのキャンパスで。UNSW College 工学ディプロマ

UNSW Sydneyのキャンパス入口にある黄色い大学名のサインUNSW CollegeのDiploma of Engineeringは、1年間学んで条件を満たすと、ニューサウスウェールズ大学(UNSW)の工学学士(オナーズ)の2年次へ進める進学ルートです。全8科目の中身、進学の条件、学費、UTS Collegeとの違いをまとめました。


UNSWの工学部を、1年目からキャンパスの中で目指す。そのための12か月です。

UNSWの工学部は、航空宇宙、土木、電気、機械、ソフトウェア、再生可能エネルギーなど20以上の専攻を持ち、オーストラリアで工学を学びたい方からのご相談で名前の挙がることが多い学部です。

ただ、日本の高校から直接1年次に入るには、高い成績と英語力が求められます。そこで選択肢になるのが、UNSWのキャンパス内で大学1年次に相当する内容を学び、2年次に合流するディプロマ(Diploma)のルートです。

ファウンデーション(大学進学準備コース)を経由する場合と比べると、トータルの在学期間を1年短くできます。ただし、ディプロマは「入れば自動的にUNSWへ進める」課程ではありません。この記事では、進学の条件や学習の負担も含めて、このルートが自分に合うかを判断する材料を整理しています。

UNSWのキャンパスで、少人数で学ぶ工学の1年目

UNSW Collegeの黄色い校名サインUNSW Collegeは、UNSWへの進学準備を担う教育機関です。

ディプロマの授業は、シドニーのUNSW Kensingtonキャンパス内にある校舎(Building L5)で行われ、図書館などの学内施設もUNSWの学生と同じキャンパスで使うことになります。

このディプロマの特徴は、1クラス約20人の少人数制と、UNSWの1年次よりも授業時間が少なくとも20%多く設定されている点です。週あたりの授業時間は約20〜25時間で、大学1年次の内容を、先生との距離が近い環境で学ぶ設計になっています。

日本の高校から、いきなり数百人規模の大教室で英語の工学の講義を受けるのは、正直なところかなり大変です。最初の1年をこの環境で過ごし、英語で数学や物理を学ぶことに慣れてから大学に合流できるのが、ディプロマを選ぶ一番の理由だと私は考えています。

なお、このコースは2024年8月に、Diploma in Engineering(CRICOS 095863M)から現在のDiploma of Engineering(CRICOS 113047A)に切り替わっています。

CRICOSは、オーストラリア政府が留学生向けコースに付ける登録番号です。古い情報を見かけたときは、コース名とコードを確認してください。

数学・物理・工学設計。全8科目の組み立て方

UNSWの数学・統計学部(School of Mathematics and Statistics)の入口ディプロマは全8科目・48単位(1科目=6単位)で、1年を3つの学期に分けて学びます。必修科目が5科目、UNSWで進みたい専攻に合わせて選ぶ選択科目が3科目という組み立てです。

科目コード 必修科目(5科目・30単位)
AELC1304Communication and Academic Literacy 4(アカデミックな英語コミュニケーション)
MTHS1312Fundamentals of Mathematics B(数学の基礎B)※数学1Aの前提知識が足りない場合
MTHS1313Mathematics 1A(数学1A)
MTHS1314Mathematics 1B(数学1B)
PHSC1321Physics 1A(物理学1A)
PHSC1323Higher Physics 1A(上級物理学1A)※成績に応じて物理学1Aの代わりに履修
ENGI1371Introduction to Engineering Design and Innovation(工学デザインとイノベーション入門)

数学は全員が2科目を履修しますが、組み合わせが入学時の数学力で変わります。数学1Aの前提知識がある方は「数学1A+数学1B」、足りない方は「数学の基礎B+数学1A」です。物理も、成績によって通常の物理学1Aか上級物理学1Aのどちらかを履修します。

科目コード 選択科目(専攻に応じて3科目を選ぶ)
PHSC1322Physics 1B(物理学1B)
PHSC1324Higher Physics 1B(上級物理学1B)
CHMS1331Chemistry A: Atoms, Molecules and Energy(化学A:原子・分子・エネルギー)
CHMS1332Chemistry B: Elements, Compounds and Life(化学B:元素・化合物・生命)
BLSC1342Molecules, Cells and Genes(分子・細胞・遺伝子)
MTSC1361Design and Application of Materials in Science and Engineering(理工学における材料の設計と応用)
EEET1381Electrical Circuit Fundamentals(電気回路の基礎)
ENGI1372Engineering Mechanics(工学力学)

選択科目は、UNSWで進みたい専攻の2年次につながるものを選びます。たとえば化学系・生体系の専攻なら化学や生物、電気系なら電気回路、機械・土木系なら工学力学、というように、専攻によって必要な組み合わせが変わります。

専攻ごとの組み合わせは、ソフトウェア系ならプログラミングの科目が入るなど、細かく決まっています。どの組み合わせが自分の進路に合うかは、出願前に一度確認しておくと安心です。

「工学」という名前から、いきなり設計や実験ばかりの1年を想像される方もいます。しかし実際には、8科目のうち数学が2科目、物理が1〜2科目で、2年次以降の専門科目を理解するための土台づくりが中心です。急に受験勉強の続きのような話になってきましたが、ここは避けて通れない部分です。

UNSW工学部の2年次へ。進学の条件と選べる専攻

UNSWのTyree Energy Technologies Building(TETB)の館名表示ディプロマを修了し、UNSWの入学条件を満たすと、UNSWのBachelor of Engineering (Honours)の2年次に進みます。この学士は、研究を含む4年制の学士課程(Honours)です。

ディプロマの1年+UNSWでの3年の合計4年で卒業を目指す形になり、進学の条件は次のとおりです。

2年次に進むための条件 内容
英語での学び方の科目(Communication and Academic Literacy)「Satisfactory」の評価(70%以上。IELTS 6.5相当とされています)
そのほかの科目すべての科目で合格点以上
UNSWの入学条件進学先の学位の入学条件を満たしていること

ここで大事なのは、英語の科目だけ基準が高く設定されている点です。数学や物理で合格点を取っていても、英語の科目で70%に届かなければ、UNSWへは進めません。つまり、この1年間は専門科目と並行して、IELTS 6.5相当の英語力まで引き上げる期間でもあります。

2年次からは、航空宇宙、生体医工学、化学、土木、コンピュータ、電気、環境、材料、機械、鉱山、ロボティクス・メカトロニクス、太陽光発電、量子、再生可能エネルギー、ソフトウェア、測量、通信など、20以上の専攻から選んで学びます。

専攻によって、専門職団体による認定の状況や、2年次以降の科目が異なります。進学先のBachelor of Engineering (Honours)の専攻や認定の詳しい内容は、当社の別記事でも紹介していますので、あわせて確認してみてください。

卒業後の進路例としては、航空宇宙、土木、化学、電気、機械、鉱山、通信などの分野のエンジニアが挙げられています。もちろん、これらは学位から考えられる進路の例であり、卒業すれば就けると保証されるものではありません。

在学中の実習や、エンジニアとして働くための資格・登録の仕組みもあわせて確認しておくことが大切です。

このディプロマが向いている人、別のルートも比べたい人

ロボットのパーツを囲んで作業するエンジニアのチームこのディプロマが向いているのは、高校で数学と物理をしっかり学んできて、UNSWで工学を学ぶことをはっきり目指している方です。

大学1年次の内容を少人数で学べるので、英語での授業に不安がある方にとっても、無理のない入り方だと考えています。

また、「工学に進むことは決めているけれど、どの分野にするかはまだ迷っている」という方にも、悪くない選択肢です。最初から完璧に合う専攻を探し当てようとするより、数学と物理の土台をこの1年で積み上げながら、手応えのある分野を見つけていくほうが現実的だと思っています。

ただし、選択科目は進みたい専攻に合わせて選ぶため、入学の時点である程度の方向性は必要です。化学系か、電気系か、機械・土木系か、くらいの大まかな見当はつけておきたいところです。

一方で、数学や物理に苦手意識がある方や、工学よりもITやデザインに関心がある方は、コンピュータサイエンスや建築など、ほかのディプロマや学部も比べたほうがよいでしょう。

また、英語力がまだIELTS 5.0前後という段階であれば、先に英語コースやファウンデーションを経由するほうが、結果的に遠回りにならないこともあります。1年間で専門科目と英語の両方を伸ばす必要があるため、スタート時点の英語力は判断の大きな材料になります。

入学条件と、ほかの進学ルート

UNSWのキャンパス内を歩く学生たち留学生の入学条件として示されているのは、所定の英語力に加えて、数学の最低成績と、関連する理系科目(物理など)の基礎知識です。

日本の高校の成績で、どの科目の何点以上が目安になるかは一律に示されていません。

高校の種類や、数学Ⅲ・物理まで履修しているかといった履修範囲まで見て判断されるため、当社では成績証明書を拝見したうえで目安をご案内しています。入学に必要な英語のスコアも、出願時期に合わせて当社でご案内します。

ルート こんな方に UNSWでのスタート
UNSWに直接入学成績・英語ともにUNSWの基準を満たしている方(英語はIELTS総合6.5〈ライティング6.0、各技能6.0以上〉が目安)1年次
ディプロマ経由数学の条件を満たし、UNSWへの直接入学の条件には届かない方2年次
ファウンデーション経由ディプロマの学業条件に届かない方1年次

ディプロマの学業条件に届かない場合は、先にUNSWのファウンデーション(大学進学準備コース)で学んでからUNSWを目指すルートがあります。

日本国内で受講するルートは日本で受けるUNSWファウンデーションの記事、UNSW College全体の進学ルートはUNSW Collegeの解説記事で紹介しています。

英語力が足りない場合は、UNSW Collegeの大学進学英語コース(University English Entry Course/UEEC)を先に受講する方法もあります。

どのルートが近道になるかは、今の成績と英語力の組み合わせで変わります。自分の学年や点数だけで「このルートしかない」と決めつけず、一度まとめて比べてみるのがおすすめです。

UTS Collegeの工学ディプロマとの違い

UNSWキャンパスの並木道シドニーには、シドニー工科大学(UTS)の工学学士の2年次に進むUTS CollegeのDiploma of Engineeringもあります。

どちらも「1年で大学の工学部の2年次へ」という仕組みは同じですが、期間の選択肢と進学の条件の示し方が異なります。

項目 UNSW College Diploma of Engineering UTS College Diploma of Engineering
進学先UNSW Bachelor of Engineering (Honours)の2年次UTS Bachelor of Engineering (Honours)の2年次
期間12か月(3学期)12か月(3学期)。条件を満たす方向けに8か月(2学期)の短期版もあり
専攻の選択肢20以上土木、電気、機械、メカトロニクス、ソフトウェアなど12
進学の条件英語での学び方の科目で70%以上(IELTS 6.5相当)、ほかの全科目で合格留学生は不合格科目が2科目以内
学費A$49,440(日本円で約5,537,280円)(2027年度・コース全体)当社でご案内
キャンパスUNSW Kensingtonキャンパスシドニー市内(UTS College)

専攻の幅を広く持ったまま、数学・物理の土台を固めてからUNSWの工学部に合流したい方はUNSW Collegeのディプロマが候補になります。

一方、進学先の専攻がある程度決まっていて、条件を満たせば8か月で2年次に進みたい方には、UTS Collegeのディプロマも比べる価値があると考えています。

どちらが上かではなく、進学先の大学で何を学びたいか、どのくらいの期間で進みたいかで選ぶ学校が変わります。

2026年度・2027年度の学費とその他の費用

オーストラリアドルの紙幣・硬貨とノート学費は1科目ごとに設定されていて、8科目分の合計がコース全体の学費になります。ディプロマは1年間のコースなので、下の「コース全体」の金額が、ほぼ1年分の学費にあたります。

年度 1科目あたり コース全体(8科目)
2026年度A$6,060(日本円で約678,720円)A$48,480(日本円で約5,429,760円)
2027年度A$6,180(日本円で約692,160円)A$49,440(日本円で約5,537,280円)

学費は毎年見直される目安額で、授業料のみの金額です。

参考までに、進学先のUNSW Bachelor of Engineering (Honours)の初年度の学費は、2026年度の目安でA$61,500(日本円で約6,888,000円)です。

年度が異なるため単純な比較はできませんが、1年目をどこで学ぶかで費用の組み立ても変わります。

このほかに、学生サービス・アメニティ費(Student Services and Amenities Fee/SSAF)として、2027年度はフルタイムの場合1学期あたりA$129(日本円で約14,448円)がかかります。

さらに、留学生用の医療保険(Overseas Student Health Cover/OSHC)、学生ビザの申請料、渡航費、生活費も必要です。シドニーは生活費が高い都市なので、住まいの選び方も含めて、総額は個別にお見積りしています。

コース概要

項目 内容
教育機関UNSW College(CRICOS 01020K)
コース名Diploma of Engineering(CRICOS 113047A)
期間12か月(3学期・全8科目・48単位)
学費A$49,440(日本円で約5,537,280円)(2027年度・コース全体の目安額)
入学時期年3回(1月・5月・8月頃)。正確な開始日は当社でご案内
授業時間週約20〜25時間・1クラス約20人
キャンパスニューサウスウェールズ州シドニー・UNSW Kensingtonキャンパス(Building L5)
進学先UNSW Bachelor of Engineering (Honours)の2年次(条件あり)

情報の最終確認:2026年10月31日(当社にて最新情報を確認)

出願前によくいただく質問

このコースについて、日本の高校生とその保護者の方からいただくご質問をまとめました。

修了すれば必ずUNSWに進めるのか、専攻はいつ決めるのか、そしてファウンデーションとの違い——実際に多いのはこの3つです。

Q. ディプロマを修了すれば、必ずUNSWの工学部2年次に進めますか?
A. 自動的に進めるわけではありません。英語での学び方の科目で70%以上(IELTS 6.5相当)を取り、ほかの全科目で合格したうえで、UNSWの入学条件を満たす必要があります。特に英語の科目の基準を意識して、1年間を計画することが大切です。

Q. 工学の専攻は、いつまでに決める必要がありますか?
A. 専攻はUNSWの2年次から学びますが、ディプロマの選択科目3科目は進みたい専攻に合わせて選びます。そのため、入学の時点で化学系・電気系・機械系など大まかな方向性を持っておくと安心です。リストにない専攻を希望する場合も、共通する科目の単位が認められることがありますので、出願前にご相談ください。

Q. ファウンデーションとディプロマは、どちらを選べばよいですか?
A. ディプロマはUNSWの2年次、ファウンデーションはUNSWの1年次につながります。ディプロマのほうが在学期間を1年短くできますが、そのぶん求められる成績も高くなります。今の成績と英語力でどちらの条件に届くかを確認してから決めるのがおすすめです。

Q. 卒業後は、オーストラリアでエンジニアとして働けますか?
A. 学位を取れば就職が保証されるわけではなく、在学中の実習や設計プロジェクトの経験、英語でのコミュニケーション力も重要になります。エンジニアとしての資格や登録の仕組みも、分野ごとに確認が必要です。なお、ビザ制度や申請資格は変更される場合があります。最新情報はDepartment of Home Affairsで確認し、個別のビザ相談はRegistered Migration AgentまたはAustralian legal practitionerへご相談ください。

カウンセラーから一言(オーストラリア留学センター シドニーオフィス 大越 麻結)

UNSWの工学部を目指したいというご相談をいただいたとき、最初に伺うのは、高校で数学と物理をどこまで学んでいて、どのくらいの成績だったか、ということです。

ディプロマは1年でUNSWの2年次に進める魅力的なルートです。ただ、その1年の中身は、数学2科目、物理、工学設計、専攻に合わせた選択科目、そして70%以上が求められる英語の科目です。数学と物理の土台が整っているかどうかで、この1年の大変さはかなり変わってきますね。

次に伺うのは、工学のどの方向に進みたいかです。選択科目は専攻に合わせて選ぶので、「工学なら何でも」という状態のまま入学すると、1年目の科目選びで迷ってしまうかもしれません。完璧に決めておく必要はありませんが、大まかな方向性だけは整理しておけると安心ですよね。

「数学が得意だから大丈夫」「UNSWが有名だから」と一つの要素だけで決めてしまうのは、少しもったいない気がします。成績、英語力、そして進みたい専攻。この3つを並べて、ディプロマ、ファウンデーション、UTS Collegeなど他校のルートを一度比べてみてくださいね。

当社では、成績証明書を拝見しながら、その比較を一緒に進めています。UNSWの工学部でものづくりに取り組みたい方の不安が、少しでも和らげば嬉しいです。

UNSW College・ニューサウスウェールズ大学(UNSW)への進学相談はオーストラリア留学センターへ

ディプロマとファウンデーションのどちらの条件に届くか、数学・物理の成績や英語力で何が足りないか、進みたい専攻に合わせた科目の選び方まで、成績証明書を拝見しながら一緒に考えます。お問い合わせフォームからお気軽にご相談ください。すべて無料でサポートしています。
豪政府認定留学カウンセラーPIER資格保持
(QEAC登録番号G175)
留学カウンセラー歴23年。高校時代の短期留学をはじめ、ワーキングホリデー、学生ビザでの専門学校進学など、私自身もシドニーでさまざまな留学を経験してきました。留学は一人ひとり目的も状況も異なり、「正解」が一つではないことを実感しています。こうした経験が、現在のカウンセリングの土台になっています。 インターネットには多くの情報がありますが、同じ留学プランがすべての方に合うわけではありません。留学の目的や英語力、ご予算、これまでの経験、将来の希望などを丁寧に伺いながら、選択肢を一緒に整理し、その方に合った現実的なプランを考えることを大切にしています。 過去には東京オフィスにも勤務し、現在はシドニー現地で、ワーキングホリデーから長期語学留学、専門学校、大学・大学院進学まで、幅広い留学に携わっています。日本で留学を考え始める段階から、現地での生活や学び、そして卒業までを見据えてサポートしています。何から考えればよいか分からない段階でも大丈夫です。一緒に情報を整理し、ご自身に合った留学への第一歩を見つけていきましょう。 このカウンセラーに質問する

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