設計スタジオから始める建築の1年目。UNSW College 建築ディプロマ

UNSW Collegeの校舎の外観UNSW CollegeのDiploma of Architectureは、1年間学んで条件を満たすと、ニューサウスウェールズ大学(UNSW)の建築・インテリア建築・ランドスケープ建築の学士の2年次へ進める進学ルートです。全8科目の中身、進学の条件、学費、UTS Collegeとの違いをまとめました。


高校を卒業して1年後に、UNSWの建築系学部の2年生として学び始める。そのための12か月です。

UNSWの建築・建築環境(Architecture and Built Environment)分野は、QS世界大学ランキング分野別(2025年)で世界23位に入っており、建築を学びたい方からのご相談で名前の挙がることが多い大学の一つです。

ただ、日本の高校から直接1年次に入るには、高い英語力と成績が求められます。

そこで選択肢になるのが、UNSW Collegeで1年間学び、UNSWの2年次に合流するディプロマ(Diploma/大学1年次に相当する課程)のルートです。ファウンデーション(大学進学準備コース)を経由する場合と比べて、トータルの在学期間を1年短くできます。

ただし、ディプロマは「入れば自動的にUNSWへ進める」課程ではありません。この記事では、進学の条件や学びの中身も含めて、このルートが自分に合うかを判断する材料を整理しています。

デザインスタジオが中心。少人数で学ぶ1年間

プロジェクトに取り組む建築家たちUNSW Collegeは、UNSWへの進学準備を担う教育機関で、UNSWのKensingtonキャンパス内に校舎(Building L5)があります。

ディプロマの内容はUNSWと共同で作られた大学1年次相当のもので、UNSWの図書館や施設も利用できます。

このディプロマの特徴は、1クラス約20人の少人数制と、UNSWの1年次よりも授業時間が少なくとも20%多く設定されている点です。週あたりの授業時間は約20〜25時間で、課題について先生と直接やりとりしやすい環境です。

建築の授業の中心は、設計課題に取り組み、講評を受けながら作品を磨いていくデザインスタジオ(Design Studio)です。自分の案を英語で説明し、指摘を受けて直す、という繰り返しになります。

日本の高校からいきなりこのスタイルに入るのは、正直なところかなり大変です。最初の1年を少人数の環境で過ごし、英語で発表・講評を受けることに慣れてから大学に合流できるのが、このディプロマを選ぶ大きな理由だと私は考えています。

なお、このコースは2024年8月にDiploma in Architecture(CRICOS 107826B)から現在のDiploma of Architecture(CRICOS 113044D)に切り替わっています。

古い情報を見かけたときは、コース名とコードを確認してください。

設計・表現・歴史・技術。全8科目の中身

オフィスで仕事をする建築家ディプロマは全8科目・48単位(1科目=6単位)で、1年を3つの学期に分けて学びます。内訳は、必修7科目と、進みたい専攻に合わせて選ぶ選択科目1科目です。

科目コード 必修科目(7科目・42単位)
AELC1304Communication and Academic Literacy 4(アカデミックな英語コミュニケーション)
ARCT1301Practical Design Studio 1(デザインスタジオ実践1)
ARCT1302Communication in the Built Environment(建築環境分野の表現とコミュニケーション)
ARCT1303Design History and Theory 1(デザインの歴史と理論1)
ARCT1304Practical Design Studio 2(デザインスタジオ実践2)
ARCT1305Architectural Composition and Modelling(建築の構成と模型制作)
ARCT1306Building Environments and Technics 1(建築環境と技術1)

デザインスタジオが2科目あり、そのまわりを、図面や模型で考えを伝える力、建築の歴史と理論、建物の環境や技術の基礎が支える構成です。設計だけでなく、歴史や理論について英語で文章を書く場面もあります。

科目コード 選択科目(専攻に応じて1科目・6単位)
ARCT1307Architectural Science & Building Environment 1(建築科学と建築環境1)
ARCT1308Interior Architecture Critical Perspectives(インテリア建築の批評的視点)
ARCT1310Introduction to Landscape Architecture & Analysis(ランドスケープ建築と分析の入門)

選択科目は、UNSWで進みたい専攻の推奨履修計画に合わせて選びます。つまり、どの学士に進むかを、ディプロマの途中である程度決めておく必要があります。

建築学科と聞くと「絵が上手でないと無理」と思われがちですが、求められるのは画力よりも、空間を考え、それを図面・模型・言葉で説明する力です。ただし、課題の量は多く、締め切り前は制作に時間を取られます。アルバイトとの両立は、ここを前提に考えておく必要があります。

UNSWの2年次に進むための条件と、3つの進学先

UNSWキャンパスの風景ディプロマを修了し、UNSWの入学条件を満たすと、次の3つの学士のいずれかの2年次に進みます。

進学先(UNSWの学士) 学ぶ内容
Bachelor of Architectural Studies(建築学)建物の設計を中心に、建築の基礎を学ぶ
Bachelor of Interior Architecture (Honours)(インテリア建築・優等学位)建物の内部空間の設計を学ぶ
Bachelor of Landscape Architecture (Honours)(ランドスケープ建築・優等学位)公園・広場・街路など屋外空間の設計を学ぶ

進学の条件として示されているのは、次の2点です。

2年次に進むための条件 内容
英語での学び方の科目(Communication and Academic Literacy)「Satisfactory」の評価(70%以上。IELTS 6.5相当とされています)
そのほかの科目すべての科目で合格点以上

ここで大事なのは、英語の科目だけ基準が高く設定されている点です。デザインスタジオで良い評価を取っていても、英語の科目で70%に届かなければ、UNSWへは進めません。

UNSW Collegeが公表しているディプロマ修了生の2年次への進学率は約90%ですが、1年間で英語をIELTS 6.5相当まで引き上げる意識は欠かせません。

卒業後の進路例としては、建築家、ランドスケープアーキテクト、インテリア・空間デザイナー、建築技術者、建築検査員、都市計画の専門職、映像作品の美術デザイナーなどが挙げられています。

もちろん、これらは考えられる進路の例であり、卒業すれば就けると保証されるものではありません。

特に「建築家(Architect)」として名乗り、登録するには、学士のあとに建築の修士課程(Master of Architecture)へ進み、実務経験を積む必要があります。学士の3年間は、その長い道のりの最初の段階だと考えてください。

このディプロマが向いている人、別のルートも比べたい人

図書館の机を囲んで勉強する学生グループこのディプロマが向いているのは、UNSWで建築・インテリア・ランドスケープのいずれかを学びたいとはっきり決めていて、手を動かして考えることが好きな方です。

英語での発表や講評に不安がある方にとっても、少人数で慣れてから大学に合流できるのは大きな利点だと考えています。

また、「建築に興味はあるけれど、建物・インテリア・屋外空間のどれに進むかはまだ決めていない」という方にも、悪くない選択肢です。最初から完璧に合う専攻を探し当てようとするより、スタジオで実際に設計してみてから方向を絞るほうが現実的です。

一方で、建物よりもグラフィックやプロダクト、ファッションなど幅広いデザインに関心がある方は、デザイン系の学部や、後で紹介するUTS Collegeのディプロマも比べたほうがよいでしょう。

また、英語力がまだIELTS 5.0前後という段階であれば、先に英語コースやファウンデーションを経由するほうが、結果的に遠回りにならないこともあります。課題の量が多い1年間なので、スタート時点の英語力は判断の大きな材料になります。

入学条件と、ほかの進学ルート

机をはさんで相談し、握手する2人留学生は、所定の英語力と学業成績の条件を満たす必要があります。日本の高校の成績で、どの程度が目安になるかは一律に示されていません。

高校の種類や成績の推移まで見て判断されるため、当社では成績証明書を拝見したうえで目安をご案内しています。入学に必要な英語のスコアも、出願時期に合わせて当社でご案内します。なお、出願時の作品集(ポートフォリオ)の提出は、このディプロマの条件には挙げられていません。

ルート こんな方に UNSWでのスタート
UNSWに直接入学成績・英語ともにUNSWの基準を満たしている方(英語はIELTS総合6.5〈ライティング6.0、各技能6.0以上〉が目安)1年次
ディプロマ経由UNSWへの直接入学の条件には届かないが、ディプロマの条件を満たす方2年次
ファウンデーション経由ディプロマの学業条件に届かない方1年次

ディプロマの学業条件に届かない場合は、先にUNSWのファウンデーション(大学進学準備コース)で学んでからUNSWを目指すルートがあります。

日本国内で受講するルートは日本で受けるUNSWファウンデーションの記事、UNSW College全体の進学ルートはUNSW Collegeの解説記事で紹介しています。

英語力が足りない場合は、UNSW Collegeの大学進学英語コース(University English Entry Course/UEEC)を先に受講する方法もあります。

どのルートが近道になるかは、今の成績と英語力の組み合わせで変わります。点数だけで「このルートしかない」と決めつけず、一度まとめて比べてみるのがおすすめです。

UTS Collegeのデザイン・建築ディプロマとの違い

ガイドランナーと並んでスタートの構えをとる陸上選手シドニーには、シドニー工科大学(UTS)のデザイン系学部へ進むUTS CollegeのDiploma of Design & Architectureもあります。

どちらも1年間で大学へ合流する仕組みですが、進学先の幅と進学の条件が異なります。

項目 UNSW College Diploma of Architecture UTS College Diploma of Design & Architecture
進学先UNSWの建築学・インテリア建築・ランドスケープ建築の2年次UTSのデザイン系学部(建築、インテリア建築、プロダクトデザイン、ファッション・テキスタイル、ビジュアルコミュニケーション)
期間12か月(3学期)12か月(3学期)。8か月の短期版もあり
進学の条件英語での学び方の科目で70%以上(IELTS 6.5相当)、ほかの全科目で合格留学生は不合格科目が2科目以内
学費A$49,020(日本円で約5,490,240円)(2027年度・コース全体)当社でご案内
キャンパスUNSW Kensingtonキャンパス(UNSW College)シドニー市内(UTS College)

建物や空間の設計に絞って、UNSWで建築を学びたい方はUNSW Collegeのディプロマ、建築も含めたデザイン全般から進路を選びたい方はUTS Collegeのディプロマが候補になると考えています。

なお、UTSの建築学士(Bachelor of Design in Architecture)へは、UTS Collegeからの進学時期が7月に限られます。どちらが上かではなく、何を学びたいか、いつ大学に合流したいかで選ぶ学校が変わります。

2026年度・2027年度の学費とその他の費用

オーストラリアドルの紙幣と電卓、ノート学費は1科目ごとに設定されていて、建築の科目7科目と英語での学び方の科目1科目で単価が異なります。ディプロマは1年間のコースなので、下の「コース全体」の金額が、ほぼ1年分の学費にあたります。

年度 建築の科目(7科目)+英語での学び方の科目(1科目) コース全体(8科目)
2026年度A$6,000(日本円で約672,000円)×7+A$6,060(日本円で約678,720円)A$48,060(日本円で約5,382,720円)
2027年度A$6,120(日本円で約685,440円)×7+A$6,180(日本円で約692,160円)A$49,020(日本円で約5,490,240円)

学費は毎年見直される目安額で、授業料のみの金額です。模型の材料や画材など、制作にかかる費用は別に考えておきましょう。

このほかに、学生サービス・アメニティ費(Student Services and Amenities Fee/SSAF)として、2027年度はフルタイムの場合1学期あたりA$129(日本円で約14,448円)がかかります。

さらに、留学生用の医療保険(Overseas Student Health Cover/OSHC)、学生ビザの申請料、渡航費、生活費も必要です。シドニーは生活費が高い都市なので、住まいの選び方も含めて、総額は個別にお見積りしています。

コース概要

項目 内容
教育機関UNSW College(CRICOS 01020K)
コース名Diploma of Architecture(CRICOS 113044D)
期間12か月(3学期・全8科目・48単位)
学費A$49,020(日本円で約5,490,240円)(2027年度・コース全体の目安額)
入学時期1月。ほかの時期の可否と正確な開始日は当社でご案内
授業時間週約20〜25時間・1クラス約20人
キャンパスニューサウスウェールズ州シドニー・UNSW Kensingtonキャンパス(UNSW College)
進学先UNSWの建築学・インテリア建築(優等学位)・ランドスケープ建築(優等学位)の2年次(条件あり)

情報の最終確認:2026年10月31日(当社にて最新情報を確認)

出願前によくいただく質問

このコースについて、日本の高校生とその保護者の方からいただくご質問をまとめました。

絵や美術の経験が必要か、修了すれば必ずUNSWに進めるのか、そして卒業すれば建築家になれるのか——実際に多いのはこの3つです。

Q. 絵や美術の経験がなくても大丈夫ですか?
A. 出願時の作品集(ポートフォリオ)の提出は、このディプロマの条件には挙げられていません。図面や模型で考えを表現する方法は、Communication in the Built Environmentなどの科目で1年次の内容として学びます。ただ、デザインスタジオでは制作と講評が続くため、手を動かして考えることを楽しめるかどうかは、事前に考えておきたい点です。

Q. ディプロマを修了すれば、必ずUNSWの2年次に進めますか?
A. 自動的に進めるわけではありません。英語での学び方の科目で70%以上(IELTS 6.5相当)を取り、ほかの全科目で合格したうえで、UNSWの入学条件を満たす必要があります。特に英語の科目の基準を意識して、1年間を計画することが大切です。

Q. UNSWの学士を卒業すれば、建築家になれますか?
A. 学士の卒業だけでは、建築家(Architect)として登録することはできません。一般的には、学士のあとに建築の修士課程(Master of Architecture)へ進み、実務経験を積む必要があります。インテリアやランドスケープの分野でも、在学中の作品づくりやインターンシップなどの経験が就職に大きく影響します。

Q. 建築・インテリア・ランドスケープの進路は、いつまでに決める必要がありますか?
A. ディプロマでは、進みたい専攻の推奨履修計画に合わせて選択科目を1科目選びます。そのため、ディプロマの途中である程度方向を決めておく必要があります。入学前の時点で迷っている場合は、3つの学士の違いを一緒に整理しますので、お気軽にご相談ください。

カウンセラーから一言(オーストラリア留学センター シドニーオフィス 大越 麻結)

UNSWで建築を学びたいというご相談をいただいたとき、最初に伺うのは「建築のどこに惹かれているのか」ということです。

建物そのものの形なのか、人が過ごす室内の空間なのか、街や公園なのか。この答えによって、進む学士も、比べるべき学校も変わってきますよね。

ディプロマは1年でUNSWの2年次に進める魅力的なルートです。ただ、その1年の中身は、デザインスタジオでの制作と講評、建築の歴史と理論、そして70%以上が求められる英語の科目です。

英語で自分の案を説明する場面にどれだけ早く慣れられるかで、この1年の大変さはかなり変わる気がします。

次に伺うのは、今の英語力です。英語の科目でIELTS 6.5相当まで伸ばす必要があるので、スタート時点の英語力によっては、先に英語コースやファウンデーションで準備したほうが、結果的に早くUNSWにたどり着けるかもしれません。

また、建築家として登録するまでには修士課程と実務経験も必要で、学士はその入口です。「建築家になりたいからUNSW」と一つの理由だけで決めてしまうのは、少しもったいないかもしれませんね。

成績、英語力、そして何を設計したいのか。この3つを並べて、UNSW College、ファウンデーション、UTS Collegeなどのルートを一度比べてみてくださいね。

当社では、成績証明書を拝見しながら、その比較を一緒に進めています。シドニーで建築を学びたい方の不安が、少しでも和らげば嬉しいです。

UNSW College・ニューサウスウェールズ大学(UNSW)への進学相談はオーストラリア留学センターへ

ディプロマとファウンデーションのどちらの条件に届くか、英語力で何が足りないか、建築・インテリア・ランドスケープのどれに進むか、UTS Collegeなど他校のルートとどちらが合うかまで、成績証明書を拝見しながら一緒に考えます。お問い合わせフォームからお気軽にご相談ください。すべて無料でサポートしています。
豪政府認定留学カウンセラーPIER資格保持
(QEAC登録番号G175)
留学カウンセラー歴23年。高校時代の短期留学をはじめ、ワーキングホリデー、学生ビザでの専門学校進学など、私自身もシドニーでさまざまな留学を経験してきました。留学は一人ひとり目的も状況も異なり、「正解」が一つではないことを実感しています。こうした経験が、現在のカウンセリングの土台になっています。 インターネットには多くの情報がありますが、同じ留学プランがすべての方に合うわけではありません。留学の目的や英語力、ご予算、これまでの経験、将来の希望などを丁寧に伺いながら、選択肢を一緒に整理し、その方に合った現実的なプランを考えることを大切にしています。 過去には東京オフィスにも勤務し、現在はシドニー現地で、ワーキングホリデーから長期語学留学、専門学校、大学・大学院進学まで、幅広い留学に携わっています。日本で留学を考え始める段階から、現地での生活や学び、そして卒業までを見据えてサポートしています。何から考えればよいか分からない段階でも大丈夫です。一緒に情報を整理し、ご自身に合った留学への第一歩を見つけていきましょう。 このカウンセラーに質問する

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