【体験談】研究者の道~西オーストラリア大学~

小川裕理 さん | パース | The University of Western Australia | Sciences
日本で理学博士号を取得の後、西オーストラリア大学でポストドクター(博士研究員)として研究を行っている、小川裕理さんの体験談です。
 オーストラリアのトップ8大学の一つ、西オーストラリア大学(The University of Western Australia: UWA)。法学やビジネス分野でも強みを発揮する大学ですが、ヘルスサイエンス、環境工学、エンジニアリング、地質学、遺伝学、動物学といった理系分野も、世界標準を上回る評価を受けている大学です。

 最近はリケジョといった呼び名で、理系の女性が注目を浴びていますが、ここUWAでも、理系分野でがんばっている女性がいます。

 UWAでポストドクター(博士研究員)として研究を行っている、小川裕理 さん。初めてお会いした時の印象は、「物静かな女性」でした。でも実際は、ご自身のことをしっかりと捉え、力強い意志を秘めている女性でした。

 英語は話すのが苦手で、研究仲間や学生が英語の先生という裕理さん、そんな裕理 さんに、研究者としての道について、お話を伺いました。



裕理さんのバックグランドを教えて下さい。

 岡山大学で理学修士号を取得し、その後、総合研究大学大学院へ入学。生物関係で理学博士号を修め、現在はUWAに在籍しています。UWAでの所属は、School of Animal Biology, Neuroecology research group (動物学部・神経生態学グループ)です。

研究内容を教えて下さい。

 私は、どうやって生物が物や色を見ているのかということに興味を持っています。眼の構造とか、眼の中にある細胞の働きがどうなっているのか、といったことを研究しています。

 眼の構造、細胞の働きは、種で違いがあるのはもちろんですが、同じ種でも雄と雌で違いがあったりと、眼を一つ取っても多様性があります。私は動物の住んでいる環境や行動の違いによって、眼の構造や働きに違いが出てきていると考えていて、UWAではオーストラリア固有のブルドックアリを対象に研究をすすめています。
 

UWAに来ることになったきっかけは?

 博士課程入学前に、キャンベラで開催された、神経行動学に関する国際学会主催のサマースクールへ行きました。オーストラリアは伝統的に神経行動学の分野で、世界的にも進んだ研究をしているんです。そのサマースクールで出会った教授に、2012年に開催された国際学会で再会して、博士課程終了後にオーストラリアに来ないかと誘われました。
 
 私は博士課程で電気生理学を学んできました。最近ではこの電気生理学の実験(眼の細胞の機能を調べるときには、いろんな波長の光刺激を眼の細胞に与えて、細胞の電気応答を測る)をできる人が少なくなってきています。UWAの教授は、たまたま、電気生理学に詳しい人を探していたみたいです。

声をかけられた時、渡航するかどうか迷いましたか?

 躊躇せずに「やったー」といった感じで、渡航を決めました。元々、博士課程を終えた後は、研究職へ進みたいと思っていて、海外や国内の学会は、就職活動も兼ねていました。そんな時に来た話でしたので、迷わず「行こう!」となりました。



研究職へ進む時、迷いはありましたか?

 理系の場合は、修士課程まで進む人は珍しくないのですが、その後は、やはりほとんどの人が就職する道を選びます。私も就職をするか、博士課程に進むか迷い、実際に就活情報サイトに登録したりしていました。

 修士課程で師事していた先生が、私の卒業と同時に退官することもあって、博士課程に進むか悩んだのですが、「自分が一番生き生きできる道は何か」を考えてみました。その先生にも相談をして、結果、研究職の道へ進むことを決めました。でも、私の時は就職事情もよく、友達も大手の企業に決まったりして、私はこれでいいのかなと焦りや不安はありました。

 実際、親にも最初は就職したほうがいいんじゃないか、と言われましたが、最終的には「人と違う道を行くのはしんどいよ」と言ってくれ、しぶしぶでしたが、応援をしてくれるようになりました。私はこの言葉で覚悟を決めました。また、半分意地もありました。結果的には、このときに研究職の道を選んでよかったと思います。
 

日本とオーストラリアの大学院で違いを感じることは?

 オーストラリアでは、大学院に行くことは、日本よりもハードルが低いように感じます。日本では博士課程まで終えると、研究職へ進む人が多くなりますが、オーストラリアでは、民間企業に就職する人も結構います。そういった環境が、博士課程で勉強する垣根を低くし、年齢層、国籍、バックグラウンドも様々で、バラティに富んだ人たちが学びに来ているのだと思います。

 また、オーストラリア人の学生は自信があるように感じます。例えば、その分野の権威の先生を前にすると、私などは委縮することも多いですが、オーストラリア人はそんなことはありません。何か指摘をされても、「いや、自分はこう思う!」ということを、はっきりと言います。それが合っていても間違っていても、「自分の意見はこう!」というものを持っています。

今後の計画を教えて下さい。

 UWAに来てから半年が過ぎました。今回のUWAとの契約期間は1年ですが、日本学術振興会の審査に通り、今年の6月から2年間、海外特別研究員として、引き続きUWAで研究を続けることができるようになりました。海外特別研究員の後は、日本に戻って研究の道を引き続き歩んで行きたいと思っています。

最後に将来の道に悩んでいる方に一言お願いします。

 例えば、将来は大企業に入りたい、といったように、将来を計画することももちろん大切ですが、 自分が本当に好きなこととか、自分がどうやっていたら幸せなんだろう、ということをよく考えて、その時その時の意思決定をしていくことも大切だと思います。そのほうが、単純に人生が楽しくなるし、その目標に向かってがんばることもできます。

 ただ、その分、何かあっても、自分で責任を取っていかなければなりません。ですので、その覚悟は必要です。でも、自分が信じる道、こうと決めた道をがんばっていれば、回りに自然と助けてくれる人が現れたり、友達とか先生と、色々といいご縁を頂ける様になります。だから、自分が決めた道を、気合いを入れて進んでいけばいいんじゃないかなと思います。

スタッフからのコメント

 裕理さんの所属している、School of Animal Biologyでは、Biological Science(生物科学)、Zoology(動物学)、Marine Biology(海洋生物学)、Agricultural Economics(農業経済)等のコースを開講しています。

 日本の高校を卒業された方は、ファウンデーション(大学準備)コースから本科コースへ進学、国際バカロレア(International Baccalaureate:IB)資格をお持ち(取得予定)の方は、直接本科コースへ、日本で関連する分野で大学を卒業された方は、大学院のコースを目指すことができます。

 海外の大学や大学院で学ぶことは、言葉の壁もあり大変です。しかし、裕理さんのおっしゃるように、責任は伴いますが、「自分がどうやっていたら幸せなのか」を考え、思いきって飛び込んでみることで、道が開けることもあるかと思います。

 オーストラリアの大学や大学院への進学を迷われている方は、ぜひ一度、下記「無料メール相談フォーム」からお問い合わせ下さい!
豪政府認定留学カウンセラーPIER資格保持
(QEAC登録番号H297)
現在はメルボルンからオーストラリア全土の留学相談をしております。色々な情報をインターネットで探せますが、やはり実際はどうなのか、何が本当なのか不安はつきまとうもの。まずはお気軽にご相談ください。考え過ぎて立ち止まるなら、一度動いてみませんか? このカウンセラーに質問する

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