滞在一年目の時は、大学院に行くことなんて微塵も想像していませんでした。そもそもオーストラリアに渡航をする1番の目的はサッカーでした。
大学生の最終学年時に、幼い頃から目指していたサッカー選手になる事ができないという現実を突きつけられましたが、「サッカーを続けたい!」という気持ちがあった自分は色々な方の話を聞き、オーストラリアでサッカーをする事を決めました。
よく友人にも"何でサッカーするのにオーストラリアなの?"と聞かれました。オーストラリアと聞いてサッカーとイメージする人は皆無に等しいですし、サッカー選手として本気で上のレベルを目指すのであればヨーロッパや、近年サッカー人気が爆発している東南アジアなどの選択肢もありました。
ただ、頭の片隅に選手として引退した後のセカンドキャリアの事があり、英語を話せたら視野が広がるだろうと考えていました。それが英語圏であるオーストラリアでサッカーをする事を決めた理由です。
この度、大学院を卒業する事ができましたが、最初は語学学校に行くことさえも考えてはいませんでした。それでは、なぜ英語を話せるようになりたいと考えていた自分が大学院、ひいては語学学校さえも行くことを当初は考えていなかったのか、それは"行けば話せるようになるっしょ"という、ものすごい甘い考えを持っていたからです。
1年目の滞在時に、その考えの甘さに気づく事になりました。確かにサッカーをやっている時は英語環境だったので、監督やチームメイトが何を言っているのか、"だいたい"わかるようになりました。また言いたい事も単語とジェスチャーを使って、"なんとなく"伝えられるようになりました。
しかし、ビジネスの場で考えると"だいたい" のリスニングや "なんとなく"のスピーキングの英語力では通用しません。自分にとって1番の課題である"リーディング"と"ライティング"能力は、壊滅的な低さにありました。学生時代はサッカーに常に明け暮れていたため、勉強は最低限しかしていませんでした。
大学時には何ヶ月もペンを持たず、テストの解答用紙に自分の名前を書く際に、鈍って自分の名前が下手になっているという経験をしたこともあるぐらいです。
また、ブリスベン空港の入国審査では、"Australia"と"Brisbane"という単語の綴りがわからずに、カタカナで記載して、あとは100点満点の笑顔で押し切って入国するぐらいのレベルでした。笑
このように、とても英語を使って仕事ができるレベルに自分は達していませんでしたので、勉強をする事を少しずつ意識していきました。その中でサッカーをやっていた時から、目標を立ててモチベーションを上げるタイプだったので、自分の中で大学院を一つの目標として立てました。
また、度重なる負傷によって、サッカーのキャリアの終わりが近づいてきているのを感じていたのも、大学院を考え始めたきっかけの1つです。今までスポーツ推薦というものに甘え、勉強から逃げて受験の経験が一度も無い人生を歩んできたため、勉強に挑戦してみたいという思いが次第に強くなりました。
さらには、スポーツ業界のマーケティングに興味があり、マーケティングについて学んでみたいというのも大学院の入学を考えた要因の1つです。このように大学院へ進学を決めた理由は沢山のきっかけがありました。今回、サッカーの事しか考えていなかった私が大学院卒業をすることは、我ながら信じ難い事であり、家族には未だに信じられないと薄ら笑いを浮かべながら言われくらいです。。。
大学院進学を決めたものは良いものの、英語力が入学の規定に足りてなかったため、グリフィス大学付属語学学校であるGELIに通い英語力を高めていきました。
朝8時15分から休憩30分を挟み12時45分までの約4時間、”スピーキング” ”リスニング” “ライティング” “リーディング”の4教科を大学や大学院の授業に対応できるよう、徹底的に磨いていきます。
特に時間を割いて行われるのが”ライティング”の授業です。大学院では、”エッセイ”の出来が授業の評価の大きなウエイトを占めているため、自分の考えをしっかり書くこと、そこに様々な文献から”evidence(証拠)”を付ける事を徹底的に教え込まれます。
また日本のレポートと違い、” one paragraph one idea” という1つの段落は1つのアイデアだけ、そして1番伝えたいことを段落の最初の文に書く文章の構成の方法も学ぶことができました。
またその他にも授業中に頻繁に行われるグループディスカッションや、2人組で取り組むプレゼンテーションなど、コミュニケーションを取りつつ課題をクリアしていく練習もかなり与えられたので、英語力だけでなく、大学院でより求められるコミュニケーション能力と課題解決力も養うことができました。
ここでは、2年間グリフィス大学のビジネススクールでマーケティングを専攻した私が、授業内容を簡単にレポートします。
グリフィス大学では、基本的に大学の授業は2時間でワークショップが1時間という構成ですが、大学院は授業を3時間行い、その時間内にグループディスカッションやケーススタディを組み込み、教授と学生の間で頻繁にコミュニケーションを取りながら進めるスタイルが一般的です。
また、教授は積極的にクラス全員のマーケティングに関する具体的な意見を引き出し、クラス全体の議論が活発化するように工夫してくれました。個性的な授業が多く、様々な視点からマーケティングを突き詰める授業構成になっており、高いモチベーションを維持して学ぶことができました。
この授業はマーケティングの基礎知識を徹底的にカバーする授業構成となっています。マーケティングのバックグラウンドがなく、ほとんど知識のなかった僕は、とても助けられました。
この授業の最終課題は、各々が選んだ大企業への新たなマーケティングのプランの提示でした。約20ページに及ぶレポートの中に、授業で学んだことを活かして、自分のアイデアを創り上げていく面白さがあり、Mitchell教授も、授業中やコンサルテーションで沢山のアドバイスをくれて、とても有意義な講義となりました。
消費者の購買行動を理論的に学ぶ科目です。サービスや商品を購入するにあたっての消費者のプロセス、主に心理、認知、行動を重点的に講義の中で展開されました。
クラスメイトとのグループ課題では、中心街のジェラート屋さんに赴き、消費者の性別、年齢でいかに味の種類、量、容器が変わるのかを調査するObservational researchを実施し、その調査を基盤に、効果的なマーケティング方法を提示するものでした。
グループメンバーとは、授業終わりに図書館に集まり議論したり、FacebookのMessengerを利用して意見交換したりして、理解を深め、Googleドキュメントを使い、互いのレポートの進行状況を把握しました。ITを効果的に使うことにより、効率よく4人でレポートを書きあげました。
学部にもよりますが、マーケティング専攻の学生の大半は、留学生が約8割を占め、人数は1クラスあたり15名前後でした。ビジネススクールという事もあり、多くはオーストラリアの企業で働く社会人か、自国で社会人経験のある留学生という構図です。
様々なバックグラウンドを持った学生が集まるため、自国のビジネスや社会情勢、経済状況などを話したり、過去と現在の違いなどを例に挙げたり、1つのトピックでも様々な視点から議論されます。ほとんどのクラスが日本人は自分だけという事と、日本は先進国という事が重なり、必ずと言っていいほど教授から「日本では、どう?」と聞かれることがありました。
先述した通り、サッカーに明け暮れた学生生活を過ごしていたため、新聞なども読まず、日本人なのに日本の事を詳しく知りませんでした。教授やクラスメイトに自分が日本の事を詳しく知らない事を大変驚かれたのと同時に、彼らが自国の事を詳しく理解し、発表する姿を見て、自国の事を知らないのは恥ずかしいことだと気づきました。
この様々な国籍が集まる授業だからこそ、日本の事をより詳しく理解し、日本にはない斬新なアイデアも学ぶことができました。また、ほとんどが現役の社会人か、社会人経験を持っている学生のため、よりリアルなビジネスの視点からのマーケティングに関連した意見交換があり、それも自分にとって大切な知識となっています。
オーストラリアに滞在した4年間で様々なものを身に付ける事ができたと感じています。言葉が通じない中、サッカーで培ったコミュニケーション能力や大学院進学を通して身につけた英語力、そしてマーケティングの知識など、自分自身で成長を実感できる4年間になりました。
その中でも、論理的思考力はかなり鍛えられたと感じています。特に大学院の授業中のディスカッションや課題にはこの論理的思考力がとても求められます。意見を述べる際には具体例を出したり、レポートを書く際には参考文献から自分の意見に近い主張を引っ張ってきたり、何か物事を主張する際には論理的に考える習慣が身に付きました。
その他には人それぞれ違う、個性を大事にするという考え方に変わり、自分の中で価値観が変化したと感じています。日本の体育会系という事もあり、良くも悪くもみんなで一緒に楽しいことも苦しいことも共有する、その考え方が染みついていました。
しかしオーストラリアでは目的が一緒で、結果を出すことができれば、そこに対するアプローチは、自分に合ったやり方で良いという考え方でした。その考えを痛感したのがサッカーチームに所属していた頃です。
チーム全員で、そして全力で練習するのは日本では当たり前でしたが、オーストラリアでは選手によってはコンディションを考えて練習を控え、そして週末の試合には出場するという事が毎週のようにありました。
練習に参加しない選手が週末の試合に出続ける事を当時は納得せず、よくその選手と試合中に衝突していましたが、練習よりも本番に重きを置くスタイルを次第に理解できるようになりました。だからと言って、自分も練習に参加しないというわけではなく、変わらずに練習を全力でやりつつ、人それぞれのアプローチの仕方を許容できるようになりました。
英語の言い回しの部分では、同じ意味でも伝わり方や印象が大きく違うことがあり、語学学校や大学院で、とても苦労しました。やはりネイティブの方と比べると、まだまだそこが足りない部分と感じています。
オーストラリアには沢山の移民がいるので、外国人に対するリスペクトはものすごく感じますし、理解もしてくれています。ただビジネスの場を想像した時に、大事な場面で信頼を勝ち取るための1つの要素に、言葉のチョイスは含まれていると感じています。その課題を克服するには、単語力と人の使っている英語をよく聞いて参考にすることだと思うので、これからも続けて学んでいきたいです。
あとは元々苦労を苦労と感じない性格なので、特にはありません。もちろん大変なことは沢山ありましたが、全てが自分の成長に繋がっていると感じているので、オーストラリアには感謝しかありません。
おそらく大学や大学院に進学を考えている方は、既に情報を得ていると思いますが、課題は本当に大変です。課題楽勝だねって言う人に出会ったことがないです。
レポートの場合、自分の意見を明確化し、情報収集をして、ある程度道筋を決めて書き始める(学生によって違うとは思いますが)流れですが、質の高いものを作るにはそれなりの時間が必要です。さらには複数の教科のレポート提出日が重なってしまうことは結構あります。とてつもないストレスと戦うことになりますが、乗り切るコツを伝授します。
タイムマネージメントや集中力が必要なのは大前提として、個人的に大切なことは“しっかりと休む”ことです。
課題提出までの予定を自分で立てるときに、必ず定休日を作るようにしていました。定休日というのはパソコンを一切開かない日です。この日は自分のやりたいことに全ての時間を使います。僕は体を動かすことと食べることが大好きなので、ジムに行ったり、フットサルをしたり、友達とご飯に行ったりと課題の事は一切考えないようにします。
そうするととてもリフレッシュできて、次の日からまた課題が捗るようになりました。思い切って休むことで、さらに早く進むエネルギーを蓄えることができるので、恐れずに休んでください!
在学中にやっていたアルバイトを紹介します。それはツアーガイドです。基本的にお客様はJTBをご利用の方です。業務内容は空港内での乗り継ぎのご案内や、ホテルまでの送迎など。
ゴールドコーストにオフィスがあり、ゴールドコースト空港とブリスベン空港の担当がいます。僕はブリスベン空港担当だったので、日本からの便が到着する、5時半過ぎに空港でスタンバイして、お客様と会って国内線に案内するのが主な業務でした。
この仕事は学生にお勧めです。なぜならほとんどの仕事は9時前には終わります。なので授業前にもできるので、朝早い授業がなければ時間割を考慮する必要がほぼありません。
また早起きですので、かなり健康的な生活が送ることができます。この仕事を始めてから夜更かしをすることはほとんどなくなり、非常に効率の良い日々を送れています。
人と話すことが好きだったのでこの仕事を始めました。ブリスベン空港をご利用のお客様の多くはハネムーンの乗り継ぎのお客様です。いつも幸せそうなお客様と会話すると、こちらまで幸せな気分になり、エネルギーが湧いてきます。
大前提として、もし進学を考えているなら間違いなく英語の勉強は早いうちから始めたほうが良いです。
ただオーストラリアに来る前に出来ることを挙げるとして、個人的に一番伝えたいことは、現在皆さんが抱いている、留学へのドキドキ、ワクワクの期待感や、オーストラリアでの目標を忘れないで欲しいです。慣れというものは良い面もありますが、成長速度を落とす原因にもなると考えています。
常にビギナーズマインドを忘れないことで、モチベーションを高く維持し、新しいことにどんどん挑戦できたり、辛いことを乗り越えたりすることができると思います。人それぞれ、留学の目的も目標も違うと思いますが、今抱いている留学への想いを、いかに継続できるかでオーストラリア生活の充実度が変わってくると思いますよ!
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